📚目指せ100冊読書  2冊目📚


📕 「犬の消えた日」📕


発行所 株式会社 金の星社

初版 1986

作者     井上こみち

画家     頓田室子


📗どんな本?

作者が実体験をされた方からお話しをきき書き上げられた作品。主人公の小学生さよ子が可愛がっていた犬達が戦争によって彼女の元から次々取り上げられていく。

上野動物園の動物達を殺した記事を命をなんだと思っているんだといいながら、自分の愛犬に軍用犬の適性検査を受けさせる父親。

犬好きでありながら供出命令により飼い主から犬を集め、その犬たちを殺しす現場にも立合わなければならなかった警察官。

子犬を助けるアメリカ兵。

さよ子と周りの大人たちと犬とのかかわりからみえてくるものは。

この酷い現実は誰のせいか。

一体誰が悪いのか。

戦争というものを改めて考えさせられる作品。

また、どうぶつを通しての戦争の悲惨な現実だけではなく、戦争という非常が日々生きる人々にとっては日常生活になっていたのだと垣間みることができ、戦争経験者から直接話しをきくことができなくなってきている現代ではとても貴重な物語。


📘感想

動物が好きなので泣いてしまってなかなか読み進めず、供出命令で集められた犬の最期の描写は具合がわるくなった。

また、この部分について作者はあとがきで、現代の動物の殺処分とリンクし「戦時中とまるで理由は違っても、人間の身勝手で多くの犬たちの生命が絶たれていると思うと、胸が痛みます。」と書いている。本当に戦争も殺処分も人間の身勝手でしかないと思う。


それと、このあとがきを書かれたのは1986年。

2019年の現代より世の中の動物愛護の意識が低かったし戦争経験者もたくさんいて、戦争体験の生々しさが今よりもっともっと世の中に浸透していたと思う。

30年の月日で、いい風に変わった面と危惧すべく変わってしまった面があるのだなと感じた。


父親や警察官の多岐さんたちは、ふた言目にはお国のためと言っている。


お国のため。。

戦時中のお国のためは、やっぱり絶対おかしい。

命の尊さ。

子供だけがそんな当たり前の事をわかっていて、当時の大人達は命令や世間体とかで一番大事なところをみないようにしてしまっていたのではないのだろうか。

戦争は人の感覚をおかしくする。

軍の人とか政府の人だけじゃなくて、フツーの国民の感覚までも。


もー、全世界のどこでも戦争やっちゃダメ。

戦争は人も動物がかわいそう。誰も幸せにならない。


そういう気持ちになるだけではなく、今後そうさせないように、ひとりひとりが出来ることをしなくてはならないのだと、


「お国のため」は「未来の日本の子供達のため」


これが本当なのではないのかなと。


自分や家族や友達のことだけしか考えてなくて、大人として反省すべき部分だと思っていたところだった私にとって、改めて「戦争」というものを多角的に考えるタイミングになったと思う。






📙読んだキッカケ

ツイッターでこんな記事を読んだ。


もう涙が止まらなかった。

この投稿のリプにもっと戦時中の動物について知りたいならと「犬やねこが消えた」という同著者の作品を紹介されている方がいて、辿ったところ今回の「犬の消えた日」を書いた後にさらに供出について調査して書かれたものと判明した。

ならば先に「犬の消えた日」を読んでみることにした次第である。