2日前から胃腸を壊し、家では蒼白な顔で唸りながら
水しか飲めていなかったかみさんが
今朝病院で診察後、是が非でも行くと言ってきかなかったのが

若松節朗監督作品「柘榴坂の仇討」鑑賞でした

監督への御祝いの気持ちを込めて絶対に初日を観るんだと
そんな身体をひきずって、
血の色のない顔で座っている方がよっぽど縁起が悪いんではないかと
思いながら家族三人で向かいました

午前中の上映回を見たのですが、年配の時代劇ファンと
お見受けする方が大勢いらしていて
帰り際は皆さん雷に打たれたような面持ちで
涙ぐみながら、あるいは鼻をすすりながら
神妙に出口に向かわれていました

一方我らは、笑いどころを細かく見つけては
ケラケラと笑っていた娘
分からない単語も多かったゆえに
かみさんのガイドにつきながらもまだ、やはり仇討の一連は
理解しきれなかった筈の小学一年生が
「私って時代劇好きなのよね~」とそれはそれで楽しんだようで
笑顔爽やかに出口に向かい
また観賞後一段と顔色が悪いかみさんと
涙がとまならない僕といった奇妙な三人組です

僕は、ただただ感動で、
中井さん、阿部さんをはじめ皆さんの芝居が
素晴らしかったし
ストーリーに引き込まれ圧倒されて終わったのですが
かみさんは実に不機嫌で
美しいのは日本人の魂と椿だけで良かったのに
綺麗に見えすぎると思うところがあるようでした

かみさんは大の浅田次郎ファンで、
娘が宿題をする傍らではほとんど読書
それも浅田先生の作品を読み返す頻度も高く、
エッセイから短編、長編とこよなく愛してしまっているせいも
多分にあるでしょう。

細かく観すぎるというか、物語の大局を楽しむことを知らない
その上、監督はロマンチスト過ぎると言い出す始末
監督、そのまま書いてすみません、僕はそう思いません、
ロマンチスト過ぎたら「沈まぬ太陽」という大作は生まれません

いやいやそれとこれとは別なんだとかみさんは
まだ引き下がりませんが
そうこう話ているうちに顔に赤みが差し
おなかも動き出した様子で
2日ぶりに昼ご飯を少し食べていました

良い映画を観られて良かった

「柘榴坂の仇討」ぜひご覧ください