※R18要素あり


204年6日【春】


アスside



ちゅんちゅんと子鳥のさえずりが聞こえてくると共に、眩い光が窓から差し込み目を覚まさせる。

いつもは光なんて入らないのに、なんでこんなに眩しいんだと瞼をうっすらと開けると自分の家じゃない天井が視界に入ってきた。



アス

「……ん」



寝起きのせいで頭が回らないけど、眩しすぎるからとりあえず手で目を隠す。



エミー

「起きた?おはよ」


アス

「……チッ」



無意識の内に舌打ちが出てきて内心またやっちまったという後悔の念しかない。

絶対女の家では寝ないって決めてたのにこれで二回目だ、いつの間にか寝ていた。



エミー

「お腹すいてるでしょ、ご飯出来てるよ」


アス

「……いらねぇ」



俺の傍に腰掛ける女を横目に体を起こし綺麗に畳まれた服に腕を通す。

服を着たらそのまま帰ろうと声もかけずに歩こうとすると腕を掴まれる。



エミー

「ご飯食べないと倒れちゃうよ」


アス

「うるせぇな」



本気で心配してるのか、じっと俺の目を見つめて説教してくる。

俺は女の腕を引っ張り鏡の前に連れてくると、女の顔を掴みいやらしく肩を触り耳元で囁く。



アス

「お前さァ、余計なお世話なんだよ。分かるだろ?」



鏡越しに女と目が合い、わかりやすいぐらい恍惚とした表情を浮かべて俺を見ていた。



アス

「お前は俺の何?セフレ?奴隷?


エミー

「……ぁ」


アス

「俺が求めてるのはお前の体だけ、な?」



するりと腕を下ろすと、女は俺の方を向きうっとりと狂気じみたものが瞳に篭っていた。



エミー

「セフレでも、奴隷でも何でもいいから。私を傍において、認めて。私が貴方の女だって」



本当に頭がイカれてると思った、だけどその狂気さが異常なまでの執着と重さが俺には丁度良くて。



アス

「…認めてやってもいい、でも俺は誰のものでもない」


エミー

「…もちろん、分かってる」


アス

「……包んでくれたら食うわ」



そう言うと女は嬉しそうにうん!と言っていそいそと持ち運びできるように準備してくれた。

ちゃんとした好意は感じる、けど今まで感じた好意と違くて自分が主導権を握ってるはずなのに首輪が着いてるのは実は俺なんじゃないかという感覚に陥る。

…そんなはずない、きっと気のせいだ。



エミー

「行ってらっしゃい」


アス

「おー」



女に見送られて外へと出る、ほのぼのとした陽気が過ごしやすいけどその陽気さがあまり好きではない。

仕事に行く前にアスター達に会いに行こうと思って家の方に歩いていくと前からアスター達が歩いてくるのが見えた。



アスター

「兄さん、おはよう」


アス

「はよ」


イベリス

「おはよう、アス君」


ソール

「今日はちゃんと仕事来るだろ?」



アス

「行くー、体動かしたい気分だし



アスター達と別れて父さんと2人で歩いていく、その途中で待っていたようにアンガスさんが立っていた。

こっちに気づくと陽気な笑顔で大きく手を振ってくる。



アンガス

「よ!待ってたぜ」


ソール

「じゃぁ今日も頼んだよ」



父さんはダンジョンとは別方向の道へと手を振りながら去っていく。

今日もなんか他に仕事でもあんのか?

俺にはかんけーねぇけど。



アンガス

「おし、探索行くか〜」


アス

「今日もアンガスさんより活躍しますよ」


アンガス

「おーう、期待してるぜ!」


アス

「…俺の事妬ましいとか思わねぇんすか?」


アンガス

「羨ましいとは思うけど、ここまで来たのもアスの頑張りのおかげだろ」



普段はおちゃらけるのにこういう時はちゃんと褒めてくれるし、大人の余裕ってやつを見せてくる。

まじでこういう所はマルクみてぇ。



アス

「俺からしたらなんで出来ねぇんだろうって思いますけどね」


アンガス

「お前なぁ、まぁそういうハッキリした所も好きだけどなオレは!それをネチネチ言ったりしねぇし」



こういう性格だからマルク以外にまともな友達がいねぇんだけど、アンガスさんは本当に変わってる。



アス

「アンガスさんて変な人っすよね、騙されそー」


アンガス

「ひでぇ言い様だなぁ」



そんな他愛もない話を続けながら歩いていくと、あっという間にダンジョンへと到着する。

他にもちらほらと同じ部隊の人達が準備しているのが見えた。



アンガス

「オレらも行くか」


アス

「うす」



部隊の中でもアスは目立っていてソールの息子という事もあるし、年齢が若いのに1番騎士隊長候補に上がっているからチラチラと見られる。


それに加えて自由奔放な性格のせいで、万人受けはせず少なからず嫌悪に思ってる人もいる。

だけど昔から人の目線を良くも悪くも集めていたから全然気にしていない。


それに強さは本物だし慕っているソールの息子という事もあって直接文句を言う人はいない。

暫く探索して色々な物資を調達したあと、ダンジョンを後にする。


怪我をすれば持ってきている回復ポーションを頭からぶっかけ、ひたすら敵を斬る。

瘴気の森は難しいダンジョンだからアンガスさんの体力に合わせて最後までは行かず、途中で帰ってきた。


結構汗かいたから涼しい所で休みたい。

手に入れた物資をアンガスさんと山分け作業に移る。



アンガス

「おーすげ、今日大量だな。珍しく今日は沢山動いてくれたな」


アス

「体動かしたくて、好きなもん持ってっていいっすよ」


アンガス

「マジ?悪ぃな〜毎回、あんがとよ」



アンガスさんが物資の中から持ってくものを選別してる間に俺は地べたに座りあいつから渡された飯を鞄から取り出す。

食べやすいやつにしてくれたのか、ガゾサンドだった。

大きな口を開けてかぶりつくと、ガゾの旨みが広がり挟んである野菜とソースの相性もいい。



アス

「……うま」



動いてお腹が空いていたからか余計に美味しく感じた。

俺が珍しくお弁当を持ってきてるからか、アンガスさんが物珍しい顔で俺の方を見る。



アンガス

「お、珍しいな。アスが弁当なんて」


アス

「あー…」



言い淀んでいると勘の鋭いアンガスさんは閃いたような表情をして突っついてくる。



アンガス

「ん〜?女かァ?」


アス

「そんなんじゃないっすよ…」



一応女っちゃ女だけど恋人とかそんなんじゃないから否定しておくが、アンガスさんはニヤニヤと口角を上げている。



アンガス

「へぇ〜?もしかしてそれってさっきからあそこに隠れてる女の子の事か?」



アンガスさんがそう言い森の方に視線を向けると、まさかと思ったけど木の幹の影にアイツがこっそりと覗いているのが見えた。

俺にバレた事に気づくと、ハッとした顔をして慌てて幹に隠れるけどもう意味は無い。



アンガス

「あーっと、変わった…彼女?だな!」


アス

「…彼女じゃねーっす」



立ち上がり残った物資を適当に鞄に放り込み、アンガスさんの方に体を向ける。



アス

「さーせん、ちょっとあいつ締めてくるんで。お疲れっす」


アンガス

「お、お〜?女の子には優しくな…」



軽く会釈をして隠れているアイツの元へとズカズカと進んで幹の後ろを除くと、涼しい顔をして上目遣いで俺を見てくる女がいた。



エミー

「バレちゃった」


アス

「バレちゃったじゃねーよ、仕事先まで着いてきやがって」


エミー

「バレなきゃいいかなって」


アス

「バレてんだろうが…」



もう深く考えるのがアホらしく感じてどこかで休もうかと思い、踵を返そうとすると後ろから女が話しかけてくる。



エミー

「今アス君の家、アスター君達がお家デートしてるよ、それにマルク君?も女の子と家で多分遊んでるよ」



もしこいつの言う事が本当なのだとしたらなんでそんなこと知ってるんだと思ったけど、聞くのが面倒くさくてスルーして歩き始める。

女も俺の一歩後ろを着いてきていた。



エミー

「私の家なら使っていいよ」


アス

「あそ、じゃぁそうさせてもらうわ」



とりあえず早く休みたい一心で場所はどこでもいいから休める所に行く。

移動中も会話は無いけど、後ろから熱い視線が向けられているのが分かった。



女の家に到着すれば俺は鎧を脱ぎアスコットタイを取りベッドにダイブする、他所様の家だとかそんなのは関係ないぐらい寛ぐ。

脱ぎ捨てた鎧を女は丁寧に扱い綺麗に纏めて棚の上に置いていた。


女は椅子に座り俺の方をじっと眺めるように見つめてくる。

こいつは何かと毎日俺の後をつけてくるようになった、今日みたいにああやって隠れて居る時もあれば普通に後ろを着いてくる。


何がしたいのか全く分からないけど、俺が誘えば絶対乗ってくれるし何でもやってくれるから都合のいい女が常に横にいる感覚だ。

…つか、最近ずっと一緒に居ねぇか?



エミー

「寝ないの?」


アス

「…寝るよ」



こんなあからさまにずっと見られてるのが落ち着かねぇから女に背中を向けて横向きになると、段々と眠気で瞼が重くなっていった。



眠りについたアスを確認するために反対側に周り顔を覗き込む、長い睫毛が伏せられていて見蕩れてしまう程端正に整った顔に吸い込まれそうになる。

危うくキスをしそうになって顔を離すエミーは、布団を肩までかけ直し頭を撫でた。



エミー

「お疲れ様」



ずっとアス君の事が気になっていて、もっと知りたいと思った。

色んな事を知ってももっともっとと欲深くなる一方で私を求めて欲しいとも思ってしまう。


あの日アス君と関わった日からもうずっと心を掴んで離してくれない。

恋い焦がれるようなそんな恋愛、焦れったくて不安定で燃える。


ねぇ気づいてる?特定の人に固執しない貴方が私とずっと一緒にいること。

最近ではもう私の前でも寝るようになったこと。

貴方が私を自分の女だと認めたから、もう逃げられないの。


朝に言った言葉に嘘偽りは無い、セフレでも奴隷でもそばにいられればいいと。

でもそれは今だけ。



エミー

「いずれ貴方が私を求めるのよ」



貴方が、私が良いと…そう認めるの。

それまでは好きにさせてあげる、その時が来るまでは。


アスから離れようとすると突然腕を引っ張られてアスの懐に倒れ込む。

起きてたのかと驚いて顔を上げると、強く抱き締められ心臓がドキドキと跳ねるのが嫌でもわかる。



アス

「んー……良い子だから…んん



寝ぼけているのか、誰と間違えているのかは分からないけど私得すぎて。

アスの落ち着くような匂いで頭がいっぱいになり、酸欠になりそうだ。

何度体を重ねてもアス君に触れられる度に心臓が煩く踊り出す。


顔に熱が集中して熱くなっているのが自分でも分かる。

皆がアス君に沼っちゃうのも分からなくは無い、ぶっきらぼうで素っ気ないくせに困ってたら助けてくれて優しいし。


たまに笑う子供っぽい笑みが母性を擽ってくるし、女心をわかっててときめかしてくるし。

それに、えっちが上手……。

私はアス君しか経験ないけど、アス君は沢山の女の子と関係があった。


それがヤキモチ妬かないと言えば嘘になるけど、関係が沢山ある中で今は私を1番抱いてくれてるから特に思わない。

それだけ私の体にハマってくれてるっていう優越感のおかげで。


アス君との行為を思い出していると子宮がきゅきゅんと締め付けているのが分かる。

段々と気分も変わってきてアス君が寝てると言うのに興奮が抑えられない。


アス君に抱き締められてるのをいい事に自分の指で秘部を弄っていると、背徳感が相まって小さく声が漏れてしまう。



エミー

「ぁ……ん…」



我慢できなかったのにバチが当たったのか夢中で触っていると、アス君の下半身に太ももが当たり硬くなってる事に気づき顔を上げる。

案の定アス君が起きていてまるで獲物を狩るかのように興奮した目付きで見下ろされていた。



エミー

「あ、アスく」


アス

「…我慢できねぇの?」



アス君が私を押し倒すような形で上に覆いかぶさり、耳元で囁かれアス君の長くて綺麗な手が私の秘部に触れる。

くちゅくちゅといやらしい水音が聞こえて来て余計に恥ずかしい。



アス

「気持ちよさそ」



ずぷずぷと指が中に入っていき、私のいい所を直ぐに探しあてトントンと動かしてくる度に気持ちよくて喘ぎ声が我慢できない。

私をこうして虐める時、アス君は楽しそうに口角を上げながら私を見下ろす。



エミー

「ぅ……うぅ〜…イっちゃ」


アス

「いいよ」



優しく低い声で促され指のスピードも上がり、何かが来る感覚と共に唇を塞がれ絶頂へと変わる。

体が勝手に動く痙攣と頭がチカチカしている。

中から指が抜けてべっとりと愛液が着き指を開くと糸が引く。



アス

「……すご」



アス君は興奮気味にはは、と笑いその愛液を私のお腹をなぞってつける。

その後は頭がおかしくなりそうなぐらい突かれて、何回も達して何も考えられなくなった。


だけど毎回してる時のアス君は少し寂しそうで抱き締めたくなる。

アス君も分かってるよね、心が無かったらどんなに抱いたって虚しいだけだって。


それでもアス君は不器用だから、いつか壊れる幸せが怖くて自分からめちゃくちゃに壊しちゃうんだよね。

私ならずっと貴方を愛していられるのに。


歪だけどこの関係が心地よい。

達した余韻のせいで服を着る気力も無いままベッドに寝そべっていると、アス君から水を渡される。

自分だけ飲めばいいのに、優しい。



エミー

「ありがとう」


アス

「ん」



アス君は私に背を向けてベッドに腰掛ける、鍛え抜かれた体が逞しくてそっと背中に触れて頭を寄りかけた。

…暖かい。



エミー

「…大好き」


アス

「……おー」



今は私のことを好きじゃなくていい。

こうして居られるのが幸せで、他には何もいらない。

私の心全てアス君に伝わってしまえばいいのに。















【エルネアプラス】


【いつもと呼び方変えてみた】


ジェネ🌧

いつも呼び捨てだから今日は君付けで呼んでみようと思い『ジェネ君』と呼ぶとぎょっとした顔で見られ「な、なに…」と少し怯えた様子。『ジェネ君って呼ばれるの嫌?』と聞くと「君が言うと違和感しかない」とあんまり喜ばれない、「いつもみたいに呼ばれる方が嬉しいし…」と少し恥ずかしそうに言う姿が可愛くてにんまり笑顔。




【母の日】


ジェネ🌧

「ほら、やるよ」恥ずかしいから日頃の感謝は伝えられない、その代わりにプレゼントをあげる。姉と2人からのプレゼント、一緒に選びに行ったし🌧なりの愛情表現。