※夜の表現あり(R18)



203年11日【夏】


キラキラと目が眩むほどの日光が窓から差し込んで来て目が覚める。

今日はお父さんの誕生日だ、何度目か分からないけど朝起きた時に見たお父さんの髪は白く染っていた。



ソール

「レベッカと同じ髪の色になったね」


レベッカ

「そんなソール君も素敵だよ」



朝食を終えた僕らは各自それぞれ動き出す、アイリスが僕の足元にやってきて手を握ってくる。



アイリス

「パパにプレゼントあげるの?」


アスター

「うん、お誕生日だからね」



僕はアイリスを抱きかかえ、少し重くなった体重に成長を感じた。

片手に香水を手に持ち準備してるお父さんの所に行く。



ソール

「いいの?ありがとう



お父さんは慣れた手つきで香水を振り撒く、するといい匂いが漂ってくる。

嬉しそうに微笑んでるお父さんを見たら僕まで嬉しい。



アスター

「長生きしてよお父さん」


ソール

「当たり前だよ」



お父さんはそう言いながら僕の頭を撫でた、お父さんの手はデカくて落ち着く。

愛されているのが凄く伝わってくる。



ソール

「これからデート?」


アスター

「うん」


ソール

「楽しんでおいでね」



お父さんはお母さんの手を取り玄関へと歩いていく、すると兄さんが近づいてきて肩を組んでくる。

耳元で聞こえないように小声で囁く。



アス

避妊には気をつけろよ


アスター

「兄さん!!」



僕が怒るように声を上げると兄さんは悪びれもなくけたけたと笑う。

肩にぽん、と手を置いてそのまま玄関の方へ歩いていきどこかに行ってしまう。



アイリス

「おにいちゃん、顔まっかなの」


アスター

「兄さんが言ったことは気にしないでね、悪影響すぎるから」



アイリスの耳がいいって事を兄さんはちゃんと覚えてるのか?

もしアイリスに悪影響及ぼしたらどうしてくれるんだ。

アイリスは不思議そうにこてんと首を傾げていた。



僕はネイディーンさんとのデートの待ち合わせをする為に街門広場へと向かった。

ネイディーンさんは既にベンチに座り僕のとこを待ってくれていたようで。


僕を見るなり花が咲いたように笑顔で立ち上がり控えめに手を振ってくれた。



ネイディーン

「アスター君!おはよう!」


アスター

「おはよう、ネイディーンさん。ごめんね、待たせて」


ネイディーン

「ううん、大丈夫。私が少し早く着きすぎちゃっただけだから」



そう言いながら笑う彼女を見てると心が綻ぶ、暖かい気持ちになれるんだ。



ネイディーン

「私も…アスター君と沢山喋りたい、お家来る?」


アスター

「行くよ」



彼女の手を取り握りしめる、柔らかくて細い指に自分の指を絡め恋人繋ぎをしてみる。

家に行くまでにのんびりと世間話をした、他愛もないこと。

だけどそれが幸せで平和だなと感じる。



ネイディーン

「すぐに飲み物出すから」


アスター

「ありがとう、僕も手伝おうか?」


ネイディーン

「大丈夫!座ってて!」



ネイディーンさんのご好意に甘えて椅子に座る、そのうち水を注ぐ音が聞こえてきて目の前に置かれのはオレンジ色のした飲み物。



アスター

「いい匂い、トロピカルジュース?」


ネイディーン

「うん!夏だしせっかくだから」



パカマカとマナナをミックスしたジュース、濃厚な香りが漂ってくる。

口に運んでもまさにトロピカルと言った感じの味は濃くて冷たい。



ネイディーン

「そう言えばもうすぐトレンツ君の誕生日なんだっけ?」


アスター

「うん、何あげたら喜ぶかな」


ネイディーン

「えーなんだろ、男の子だもんね…


アスター

「小さい男の子が何あげたら喜ぶのかよく分からないなあ」


ネイディーン

「アスター君はそのぐらいの時何貰ってたの?」


アスター

「本、とかかな…あとお菓子とか」


ネイディーン

「あ〜アスター君っぽいね、ふふ。男の子だからかっこいい虫とかも喜びそう」


アスター

「確かに、頑張って捕まえてみる」


ネイディーン

「うん!どんな反応だったか後で教えてね」



目を細めて微笑む彼女との距離感は縮まっているようで、物理的な距離感は前と同じままだった。

何せ触れない距離が当たり前だったから、どう踏み込めば良いのか分からなくて。

どう近づけばいいか迷っていて、踏み込めない。

この距離がもどかしくて堪らないのに。


その後も色んな話をし合って、お互いに笑ってとても和やかで楽しい時を過ごした。

今日はもうちょっと距離を縮めたかったけど、恋愛なんてしたことないからよく分からなくて恥ずかしい。

日もおいおい落ちてきて一息ついたところ。



今日は何も出来なかったけど、また次考えて挑戦しようと思い席から立ち上がろうとすると彼女に止められる。



ネイディーン

「あ、ま、まって!」


アスター

「どうしたの?」



彼女も席から立ち上がって僕に近づいて、恥ずかしそうに腕を広げてくる。



ネイディーン

「今日…全然触れられてないから…」



と、奥ゆかしい申し出に引き寄せられるように。

頭で考えるよりも先に体が動くというのはこういう事かと。

彼女を強く抱き締め、顔を埋める。


目の前に甘い香りが充満して、背中に回された腕も小さな体で力を入れれば折れてしまいそうなぐらい華奢。



ネイディーン

「アスター君…く、くるしい…」


アスター

「あ、ごめん!」



少し力を緩め顔を見合わせるけど、彼女は眉を下げ幸せそうに微笑んでいた。

気づいたら彼女の唇に唇を重ねていて、拒否られない事に嬉しさを感じる。



ネイディーン

「あの、今日…まだ一緒にいたい」



その言葉で朝言われた兄さんの言葉を思い出す、もしかしてそういうことかと思ったけれど確信がなくて。



アスター

「それって…そういう事?」



ベッドの方を指をさしながら聞くとネイディーンさんは少し固まった後に小さく頷いた。

腰に手を回しキスの雨を降らしながらベッドへと移動させる。

彼女がベッドへと腰掛け、白く細い首筋に唇と這わせると小さく声が漏れた。


服を脱がそうとすると彼女が突然腕を掴んできて、止められる。

なにか不味かったのかと顔をのぞき込む。



アスター

「…やだった?」


ネイディーン

「そうじゃ、なくて…」



彼女は何だか言いずらそうに口をもごらせるけど、決意したのか静かに喋り始めた。



ネイディーン

「私、脇腹の所に大きな傷跡があるの。それ見て萎えたりしないかなって…」


アスター

「…見せて欲しい」



短くそう言えば掴んでいた腕を解放してくれて、降り注ぐキスをただ甘んじて受け入れてくれる。

ぎこちない手つきで服を脱がせると確かにそこには痛々しい傷跡が残っていた。

まるで銃で撃たれたかのような跡が。


僕は床に膝をつき彼女の脇腹にキスを落とす、これを見て萎えることなんてないのに。

段々と脇腹から胸へ鎖骨へ、首から唇へとキスをして彼女を押し倒す。



アスター

「大丈夫、ネイディーンさんは綺麗だよ」


ネイディーン

「良かった…」



彼女は安堵したようにほっと胸を撫で下ろす。

彼女の暖かく柔らかい感触が手の中でやわやわと形を変える。指で食い込ませてみたり、手のひら全体で包み突起を擦ってみると小さな甘い声が理性を揺らす。


執拗に突起を舌でこねくり回しながら右手を下の方へと這わせ蜜が溢れる所に触れる。

濡れている事に安堵を感じ、恥ずかしそうに口元を抑える彼女に酷く興奮した。


そこからの記憶はあまり覚えていない、だけど性欲を持て余した年頃の男なんて貪り着くように求めたと思う。

彼女の柔らかい肌に中はうねうねとへばりつくような感覚、まだ軽めのキスしかした事無かったのに口内を蹂躙するように舌を絡め、どっちの唾液さえかも分からなかった。


どろどろと1つになれる感覚に溺れ、まるで自分が自分でないようで冷静にいられなかった。

初めてではない彼女に誰かも分からない男に酷く嫉妬して、優しく出来た自信が無い。

裸のまま隣で寝転ぶ彼女を抱きしめ自責の念に苛まれる。



アスター

「うぁ〜、ごめん。優しくできなかった」



彼女はもぞもそと腕の中で動き僕の顔をじっと見つめて軽めのキスをしてくる。



ネイディーン

「ふふ、全然大丈夫だよ。むしろいつもあんなに冷静なアスター君が乱れてるの見るの凄く好きだから」


アスター

「なにそれ…」


ネイディーン

「それに、気持ち良かったよ」



さっきの事を思い出してるのか目をとろんと蕩けさせながらそう言われてしまえば、また反応してしまう。

ごり、と彼女の腹に反り勃ったものを押し付けると優しい手つきで触ってくる。



ネイディーン

「もっかい、する?」


アスター

「…する」



彼女の前ではかっこよくいたいのに、それを全然させてくれない。

今さっきまでしていたからか、今度はすんなりずぷずぷと挿入出来た。

だけど相変わらずきつく締まりうねっているせいか気を抜いたらすぐにイッてしまいそうだ。



アスター

「はは、あー幸せ」



勝手に口からそう零れしまうぐらいに心が満たされていた。

腰を動かすと彼女の甘い喘ぎ声が脳に響くように、動く度に反応がある事が嬉しくて止まることはなかった。

その後も初めての経験であった僕は留まることを知らずに、何回も彼女の体を求めたのだった。



もう辺りはすっかりと暗くなっていて、帰る為に服を着始める。

彼女も起き上がりワンピースだけ着て、僕に抱きついてきた。



ネイディーン

「なんか一気に距離縮まった気がする」


アスター

「僕もそう思う」



彼女のおでこにキスを落とし抱きしめ返す、幸せすぎて離れたくない。



アスター

「大好きだよ」


ネイディーン

「ん、私も大好きよ」



目が細くなりへにゃりと笑う彼女の頬に手を添えて唇を重ねる。

お父さん達がよくキスをしているけど、あんなにする理由がわかった気がする。



アスター

「じゃぁ、またね」


ネイディーン

「うん、今日はありがとう」


アスター

「こちらこそありがとう」



ネイディーンさんは玄関から手を振って見送ってくれた、家に帰る道を歩きながらふわふわとした気持ちでぼんやりと空を眺めた。

ネイディーンさんの傷跡について聞こうとしたけど、それ所じゃなかったし完全に忘れていた。



マルク

「よっ、アスター。こんな夜遅くとか珍しいな」



目の前からマルク君が手を上げて近寄ってくる、今気持ちがふわふわしているせいかいつもより表情筋が緩い気がする。



アスター

「マルク君」


マルク

「ん?なんかいい事でもあったんか?」


アスター

「いい事…確かにそうかも」


マルク

「ふ〜ん?まぁアスターが嬉しそうで何よりだよ。アスが探しに来る前に早く家に帰りな」


アスター

「うん、そうする。またねマルク君」


マルク

「おう!きーつけて帰れよ〜」



マルク君と別れて歩き始めるけど、なんでマルク君もこんな夜遅くまで出歩いているのか今更疑問に思う。

そう言えばあんまり家帰ってないって言ってたしああやって出歩いてるのかな。

今度会った時聞いてみよう。


今夜の夜空は降るような夏の星空だった。





















【エルネアプラス】


【大きな地震が来た】


アスター🦩

「わ、凄い」と短く呟くと立ってられない程大きくなる、急いで彼女の元へ近づきテーブルの下に潜らせる。「鎮まるまで頭出しちゃだめだよ」って言うけど自分はテーブルには潜らずガタガタと震えるテーブルがどこかに行かないように抑えている。『アスター君も早く入って!』と言っても「僕は大丈夫、安心して」と微笑んでくる。収まったあとは彼女から無茶をしないでと叱られるけど、🦩からしたら自分よりも彼女優先だし最悪自分が死んでも彼女を守れたらと思っている。



アス🦭

「チッ…やべぇな」と少し焦った様子で彼女の腕を引っ張り一緒にテーブルの下に入り込む、テーブルの足を掴んで動かないように固定しながら周りの様子を確認する。「外出るぞ」といつもと違って真剣な仕事してるかのような表情で引っ張られ外へ連れ出される。こういう時見捨てられるかなと思っていたから自分も守ろうとしてくれた行動に胸が高鳴る。



マルク🦎

「まって、これえぐくね!?」と倒れてしまいそうなぐらい大きな地震に普通にテンパるけど、彼女の元に行ってすぐに外に連れ出し開けた場所へと連れていく。「大丈夫?怪我ない?」と安否を確認してくれる、けど頭の中は他の人達の事も浮かんでいて大丈夫か心配で仕方なかった。



ディーン🐕

「あ、危ない!」と揺れた衝撃で棚が倒れてきてその近くにいた彼女を庇うように上に覆い被さる、勿論背中は打撲で痣になるだろうし痛くて仕方ない。驚きで目を見開く彼女に「早く外に出るんだ」といつもと打って変わって真剣な表情、その緊急性に彼女も慌てて外に出るのを確認し、自分も棚をどけて外へと移動する。彼女は涙目で抱き締めてくるけど、彼女が潰されて怪我をしなくて良かったと抱き締め返すのだった。



アルベルト🌠

すぐさま異常事態だと感じ取り自慢の体幹で彼女を抱っこし外へ連れ出す、彼女が無事だと確認するとまたすぐどこかへ行こうとするから引き止めると「他の者も助けないと」と正義感が強く人に優しい彼だからこそ臆せず他人の為に動ける、助けを必要としてる人には惜しみなく手を差し伸ばして皆を避難させる。こういう所が男らしくて惚れ直す。