手描きパースが持つ【伝わる力】について | タ・ナ・ゴコロ一級建築士事務所 ~いい塩梅な家づくり~

タ・ナ・ゴコロ一級建築士事務所 ~いい塩梅な家づくり~

一級建築士・宅地建物取引士で2児のパパ
いい塩梅な家づくりのために日々奮闘中
建築や不動産のあるあるや独自の考えをお話しています
東京都内を中心に様々なスタイルの住宅を設計・建築しています
とくに変形地や狭小住宅で困ってる方はお声掛けください

 

 

 

今よりも昔…私の学生時代のお話です。

 

設計図面を描く際は、厚手のトレーシングペーパーにロットリングというインクが出る製図ペンで、

ミスれば最初から書き直しという身もだえがするプレッシャーの中、額に汗をしながら図面を描いていました。

(汗が紙に落ちてインクがにじんでもアウトw)

 

社会に出ると、パソコンで図面を描くのが当たり前という世界で、

仕事で描く図面が手描きだったのは、詳細部分の施工図を起こすぐらいだったでしょうか。

 

【手描き図面】は1本1本の線を、太い細いをペンを持ち換えて描き分け、

それはそれは途方もない作業であったのですが、描き手の表現力がもろに出てくる面白さもありました。

 

ただ仕事として考えれば、描き手による表現のばらつきや作業時間が長くなるのは、

会社という組織にとってはデメリットであると考えられます。

 

設計図面の役割は、施工者の誰が見ても同じような結果になるように施工をできるようにするためです。

線や文字の分かりやすさもそうですが、原図を何度も印刷することは劣化にもつながります。

 

その点、現在主流であるCADによる製図は、

そのようなデメリットを防ぎ、商用利用の効率を格段に上げた発明ともいえると思います。

 

 

また、設計図面というのは建築の関係者たちが見るものであって、

一般の方が見ても内容を理解することは難しいこともあり、

施主へのプレゼンテーションは【模型】を作るなどして、設計者のイメージを伝えていました。

 

模型も手描き図面と同様、一度作れば途中の何かを修正することはできません。

何かが変えれば、最初から作り直す必要がありました。

 

 

そこに代わる存在として、【建築パース】が台頭してきます。

現在では【3Dパース】が主流となり、先述のCAD図面データがあれば自動的にパースが立ち上げられるようになり、

PCの標準スペックが上がるにつれ、建物の内観・外観も即座にパースが表示されるようになりました。

 

※CGパースの参考例です

 

 

図面では伝わりにくいイメージというものを伝えやすくしたものが【建築パース】であり、

施主へ安心してもらえることに適し、作成の難易度を抑えた最高のプレゼンツールだと思いますが、

パースが持つ重要なコンセプトは【伝わること】であるかと思います。

 

 

 

こちらは、手描きによる外観パースです。

 

 

人によって感じ方に差はあると思いますが、いかがでしょうか…

完成したときの世界観が、パソコンが描いたCGパースよりより伝わってきませんか?

 

当たり前のようでこれまで見落としてきたこの価値観を再評価し、

もっと世の中に提供できないかを模索し、手描きパース作成を今後もっと広めていきたいと思います。

 

 

 

 

不動産業界でも【建築CGパース】はよく使用されますが、

一般的にこういった内・外観パースはデザイン事務所に外注されることが多く、

 

『高精度だけど、費用が高い』

『安いけど、表現力に乏しい』

 

などの声を聞くことが多く、

【建築パース】にまつわる業界がプロ・一般の方を問わず、

ユーザーにとって利用しにくい環境であることは見直していく必要があるように痛感しました。

 

 

そこで、当社のコンセプトでもある【いい塩梅の住宅づくり】と似た、

表現力も価格も【いい塩梅のパース】をご提供できないか…

 

 

 

 

今の【CGパース】のグラフィックは恐ろしいぐらい精密な表現ができ、

窓ガラスに移り込む背景まで、コンピューターによって計算された表現ができるため、

完成する建築物と寸分違わぬパースを作ることは簡単な世界となりました。

 

しかし、【無】の状態から建物ができあがるまでの【感動】や【ワクワク感】までを、

CGパースが表現できているかどうかは、私の目で感じるところでいうと疑問です。

 

決してCGパースが悪いものであったり、劣っているというわけではありません。

しかしながら、設計図面とは役割が違う【建築パース】に関しては、

 

【アナログ】

【手作り感】

 

過去に時計の針を戻してもいいのでは?と感じている次第です。

 

 

タ・ナ・ゴコロでは、当社で設計した建物以外でも、

こういった【手描きパース】をご提供できる環境を整えました。

 

もしご興味がある方がいらっしゃいましたら、ご一報をください。

 

 

タ・ナ・ゴコロ株式会社

代表取締役 中川 修一朗