こんにちは。
サイコセラピストの棚田克彦です。
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あなたの周りに、こんな人はいませんか?
・自分の考えで行動しようとすると、恐怖を感じる、
身体が固くなる、心臓がドキドキする人
・自分に自信がないために、やりたいことができない人
・「これでいいですか?」とやたらと他人に行動の許可を
求めたくなる人
・計画はするけれども、実際にはやらない人
・やらない言い訳、できない言い訳が多い人
・やる前から「自分にはできない」と思ってしまう人
・物事を自分で決められない人
・・・等など。
心当たりのある方は、
以下のケーススタディをお読み下さい。
◆ケーススタディ◆
クライアント:20代男性
主訴:自分の考えで動こうとするといつも不安で、
身体が動かなくなったり、頭痛やめまいが
する
【セッション】
(クライアント)「人から指示をされたときは問題ないのですが、
自分の考えで動こうとするといつも不安で、どういう訳
か身体が動かなくなったり、頭痛やめまいがするのです」
(棚田)「いつ頃からですか?」
(クラ)「ハッキリとは覚えていませんが、大学生になった頃から
だと思います」
(棚田)「イスに座ったままで結構です。自分の考えで動こうとした
ときに不安を感じて、身体が動かなくなっている場面に
身を置いて下さい」
(クラ)「はい」
(棚田)「そのままの状態で、身体はどんな感じですか?」
(クラ)「全身を何かに抑え付けられているように重いです。特に、
頭を上から抑えつけられているような感じです」
(棚田)「では、その何かに抑えつけられているような感じに意識を
向けたままで・・・、もし、その“何か”に口があって
しゃべれるとしたら、○○さんに向かって何て言うと
思いますか?」
(クラ)「(少し考えてから、)『失敗するといけないから、お前が
したいようにしてはいけない』と言っているような感じが
します」
(棚田)「その声をよく聞いてください。 それは誰の声ですか?」
(クラ)「・・・母です」
(棚田)「○○さんのお母さんが、『失敗するといけないから、お前
がしたいようにしてはいけない』と言っているような感じが
するのですね。その感覚は、いつ頃から感じていますか?」
(クラ)「5、6歳くらいだと思います」
(棚田)「じゃあ、5、6歳の○○君に身を置いて、
(イスを1つ出して、)目の前にお母さんがいます。『失敗する
といけないから、お前がしたいようにしてはいけない』と言って
います。○○君は、今、どう感じる?」
(クラ)「自由にやりたいけど、失敗するかもしれないから不安です」
(棚田)「『自由にやると失敗する』って、誰があなたにそう教えたの?」
(クラ)「・・・お母さんです」
(棚田)「目の前のお母さんに、『僕が自由にやると失敗するから不安だ』
って言ってみて」
(クラ)「僕が自由にやると失敗するから不安だ」
(棚田)「こっちのお母さんのイスに座ってみて」
(クラ)「はい」
(棚田)「お母さん、あなたのお名前は何ですか?」
(クラ)「△△です」
(棚田)「『私は△△です。○○の母親です』と言って下さい」
(クラ)「私は△△です。○○の母親です」
(棚田)「△△さん、○○君が自由にやると、何が問題ですか?」
(クラ)「失敗すると、この子が苦労するから」
(棚田)「○○君は、『失敗するといけないから、お前がしたいようにして
はいけない』とあなたに言われて不安になっていますが、それを
見てあなたはどう感じますか?」
(クラ)「私が○○を不安にさせている気がします(泣)」
(棚田)「△△さんは、どうして○○君を不安にさせるのですか?」
(クラ)「この子が失敗しないように、それがこの子のためだから。○○を
私の思い通りにさせたい」
(棚田)「○○君があなたの思い通りにしないと、どんな気持ちになりますか?」
(クラ)「不安です。イライラします」
(棚田)「何で○○君を思い通りにさせたいの?」
(クラ)「この子が失敗して苦労しないように、私が心配しています」
(棚田)「何であなたが○○君の代わりに心配してあげるの?」
(クラ)「もしこの子が失敗して苦労をすると、かわいそうだから」
(棚田)「△△さん、あなたはご自身が失敗して苦労をするのが不安な人
ですか?」
(クラ)「(涙を流しながら、無言でうなずく)」
(棚田)「『私は失敗して苦労をするのが不安な人です』と言って下さい」
(クラ)「私は失敗して苦労をするのが不安な人です(泣)」
(棚田)「だから、あなたは自分の不安を○○君に押し付けるのですか?」
(クラ)「そんなつもりはありませんが、そうしていると思います」
(棚田)「立ち上がって、○○君のイスに戻ってください」
(クラ)「はい」
(棚田)「○○君、今、どんな風に感じてる?」
(クラ)「不安の原因がわかりました。母だったんですね・・・」
(棚田)「○○君のお母さんは、お母さん自身が失敗して苦労をするのが
不安な人なんです。だから、『あなたも失敗して苦労をすると
いけないから、私と同じように不安になりなさい』と、○○君
を教育し続けてきたんです。でも、それはお母さんの不安で
あって、○○君の不安ではないんです。それはわかる?」
(クラ)「はい。わかります」
(棚田)「じゃあ、『失敗して苦労をするのが不安なのは、お母さんの
感じ方であって、僕の感じ方ではありません』と、お母さん
に向かって直接言って下さい」
(クラ)「失敗して苦労をするのが不安なのは、お母さんの感じ方で
あって、僕の感じ方ではありません」
(棚田)「言ってみて、今、どんな感じ方がする?」
(クラ)「胸の辺りがスーッと楽になりました」
(棚田)「お母さんは、『失敗するといけないから、お前がしたいよう
にしてはいけない』って言ってるけど、○○君はどうしたい?」
(クラ)「自由にやりたいです」
(棚田)「でも、自由にやると、失敗して苦労をするかもしれないから、
お母さんの言う通りにした方がいいよ」
(クラ)「もう嫌です」
(棚田)「だったら、お母さんに向かって、『失敗してもいい。
苦労をしてもいい。僕は自由にやるときも、自分で自分を
不安にしません』と言ってから、決心が付いたらお母さん
のイスを倒しなさい」
(クラ)「失敗してもいい。苦労をしてもいい。僕は自由にやるときも、
自分で自分を不安にしません! (お母さんのイスを倒す)」
(棚田)「今、どんな感じですか?」
(クラ)「とっても楽で、身体が軽いです(笑顔)」
※このセッション以降、クライアントは楽に自分の考えで動けるようになった。
頭痛やめまいの症状も消失した。
いかがでしたか?
「失敗するのが怖くて行動できない人」たちに共通するのは、
●子どもなら誰でもやっている遊びや活動をやらせない
心配性で恐怖心の強い親によって育てられた
という点です。
親の子どもに対する影響力は非常に大きなものがありますから、
親が持っている
《自由に行動することは、怖いことだ》
というリミッティング・ビリーフが、
世代を超えて受け継がれていくのです。
また、お父さん、お母さんが心配性で恐怖心が強い場合は、
そのおじいちゃん、おばあちゃんも心配性で恐怖心が強い
場合が多いようです。
まさに、ビリーフが世代間で連鎖する典型的な例です。
親の「まだ小さいから」「子どもには危ないから」という理由は、
一見すると子どものためを思っているようですが、実は、
親自身が持つ不安を、自分の子どもに対して押し付けている
だけに過ぎません。
自分の子どもが自分の力で考えて、自分の力で行動し、
成長していく能力を、親が認めていないのです。
子どもは新しい事に挑戦して、失敗するのが大好きです。
というよりも、
そもそも、小さい子どもの心の中に、
「成功」とか「失敗」という概念は存在しません。
子どもの心の中に存在するのは、
「楽しいこと」と「楽しくないこと」
の2つの区別だけです。
子どもは「楽しいか?」「楽しくないか?」を基準に、
「やる」「やらない」を決めるのです。
ところが、
親からは失敗することの恐怖を教育され、
学校では集団の中で人と違うことをしたときの
恥ずかしさを教え込まれます。
そうやって、
「失敗するのが怖くて行動できない人」や
「自信がなくてやりたいことに挑戦できない人」が
生み出されてゆくのです。
次回の「サイコセラピー体験講座」は8月22日(日)の開催です。
テーマは、
『心配性で優柔不断、臆病な性格』
です。
ここで書いた内容を掘り下げます。
詳細とお申込みはこちらから
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サイコセラピスト 棚田克彦