パニック障害を30分で治す方法 | サイコセラピスト(心理療法士) 棚田克彦 公式ブログ

こんにちは。

サイコセラピストの棚田克彦です。

http://www.tanada-katsuhiko.com/index.php?FrontPage



週末の6日と7日は、

『プロセラピスト養成講座(第一期生)』

の第3日目と4日目の授業でした。



全国から集まった、「世の中の困っている人たちを

助けたい」という強い気持ちを持った15人の方が

学ばれています。



まだ学術論文上や精神医学分野の臨床家、研究者間でしか

共有されていない世界最先端、最高レベルのセラピー技術

を学ぶために、遠くは大阪や九州、沖縄からも参加されて

います。



この講座では、圧倒的な“実践力”の養成を重視しています。



さまざまな悩みや症状ごとに、その原因と解決方法

(具体的なセラピー技法)を、講義とデモンストレー

ションに続いて、生徒同士のロールプレイングを

ミックスしながら現場で自信を持って使えるように

練習し、さらに質疑応答を徹底的に繰り返します。



セミナーや公開講座というよりは、

どちらかというと、

「進学塾の難関校合格クラス」

みたいな感じです(笑)。



生徒さんからの期待には300%応えるつもりで、

私が持っている知識や技術は、全て包み隠さずお伝え

するようにしています(本当に細かいところまで)。



生徒の皆さんはというと、講座の日程以外にも有志で

集合して、習ったばかりのテクニックを練習したり、

スカイプを使ってセッションのリハーサルをしたり

しています。



私自身がこの講座で教えていて、生徒の皆さんの

向上心や勤勉さには頭の下がる思いです。



ところで、



講座の3日目の朝一番に、

「パニック障害へのアプローチ方法」について

お話をしました。



パニック障害を改善するためには、

(私のやり方だと、)通常は数回の

セッションを必要とします。



ところが、

最近来られたある女性クライアント

の場合、

たった30分のセッション一回だけで、

パニック障害の症状(突然息苦しく

なって胸が痛くなる不安発作)が

消失しました。



講座内で、そのときのセッションのやり方を、

再現してデモンストレーションしました。



教育的な見地からみて

多くの示唆に富んだ

非常に有益な内容だったので、

クライアントさまに許可をいただいた上で、

ブログ上でもシェアさせていただきます。



◆ケーススタディ◆

患者: 30代女性。

主訴: パニック障害

セラピーの目的:

数年前からパニック障害に苦しんでおり、

精神科に通院している。

数回のパニック発作を経験して以来、

怖くて特急電車や高速道路に乗れない。

ところが、仕事上の理由で約二ヵ月後に

どうしても飛行機に乗らないといけなくなり、

急いで何とかして欲しいということでやって来た。



【セッション】

(棚田)「○○さん、今ここで、あたかも飛行機に乗って
     座席に座っているところを想像してみて下さい。
     座席から立って、絶対に動いてはいけません。
     シートベルトを締めているので、動きたくても
     身動きできません」


(クライアント)「・・・(苦しそうな表情をする)」


(棚田)「今、どんな感じがしますか?」


(クライアント)「身動きできなくて苦しいです。
         息切れする感じです。
         息苦しいです」


(棚田)「その身動きできなくて息苦しい感じを感じてみて。
     小さい子どもの頃に、それと似たような感覚を
     感じていたことはありませんでしたか?」


(クライアント)「(小さくうなづく)」


(棚田)「(クライアントの前にイスを2つ置いて、)
     ○○さんがまだ小さい子どもの頃に、
     お父さんとお母さんがいて、
     息苦しさを感じている場面に身を置いたつもり
     になってみて下さい。
     どんな感じがする?


(クライアント)「息苦しいです」


(棚田)「何で息苦しいの?」


(クライアント)「お父さんとお母さんがケンカしてるから。
         止めて欲しい・・・」


(棚田)「お父さんとお母さんは、どんなふうにケンカしてるの?」


(クライアント)「私の学校のことでお父さんとお母さんが
         ケンカをしています。
         お父さんがお母さんを叩いてます。
         お母さんは大声で叫んで・・・、
         ケンカを止めくれません」


(棚田)「(お父さんとお母さんのイスを向かい合わせて、)
     ほら、お父さんがお母さんを叩いてるよ。
     お母さんが大声で叫んでるよ。
     二人のケンカを止めさせないと」


(クライアント)「もう止めてっ!」


(棚田)「お願いしたら、お父さんとお母さんはケンカを止めてくれるの?」


(クライアント)「止めてくれない」


(棚田)「もっとお願いしてごらん」


(クライアント)「お願いだから止めてっ!」


(棚田)「どう? お父さんとお母さんはケンカ止めてくれた?」


(クライアント)「止めてくれない(泣)」


(棚田)「まだお願いしてみる? お願いしたらケンカを止めてくれそう?」


(クライアント)「止めてくれません」


(棚田)「○○ちゃんはまだ小さい子どもでしょ?」


(クライアント)「はい」


(棚田)「小さい子どもが親のケンカの面倒を見ないといけないの?
     ケンカをしているお父さん、お母さんと、あなた、どっち
     が悪いの?」


(クライアント)「お父さんとお母さんが悪い」


(棚田)「そうだよね。お父さんとお母さんに向かって、
    『私はぜんぜん悪くない。お父さんとお母さんが悪い』
     って言いなさい」


(クライアント)「私はぜんぜん悪くない。お父さんとお母さんが悪い」


(棚田)「だったら、目の前のお父さんとお母さんに向かって、
    『私はまだ、子どもです。私はもう、あなたたちの面倒は
     見ません』と言いなさい。それから、二人のイスを倒して、
     お父さんとお母さんをあなたの心の中から追い出しなさい」


(クライアント)「私はまだ、子どもです。私はもう、あなたたちの
         面倒は見ません! (イスを倒す)」


・・・・・後略。



※このセッション後、すぐに特急電車に乗ることができた。その後、
 飛行機での出張も無事に乗り切ることができたとの報告があった。



この女性クライアントは小さい頃、

まだ子どもであるにもかかわらず、

子どもらしく振舞うことを許されず、

両親のケンカを止めようとして、

必死で親の面倒を見ていました。



つまり、

まだ子どもなのに

「(親の)親の役割」

を強いられていました。



だから、

この女性クライアントが持っていた

リミッティング・ビリーフは、

『私は子どもであってはならない』

ということになります。



このリミッティング・ビリーフを

持っている人は、小さい頃から

「私は子どもらしくしてはいけない」

と感じながら育ってきたので

人に甘えたり、

はしゃいだり、

羽目をはずしたりするのが、

とっても苦手です。



子どもの頃からいわゆる「いい子」

といわれる人が多く、

ちゃんと規則を守り、

人からの期待には全て応え、

しかも周囲の人たちへの気配りも

決して忘れません。



しかし、

本当は自分が一番、人から面倒を

見て欲しいし、子どものように

甘えたいのです。



そうした子どもらしい欲求を我慢することは、

息苦しさや閉塞感につながります。



そして、

ストレスなどで心と体が弱っているときに、

電車に乗っているときに感じる息苦しさや

閉塞感が引き金となって、ある日突然、

パニックの発作が発症するのです。



予期不安を感じてだんだんと息が苦しくなり始めて

いるときは、子どもの頃に感じていたのと全く同じ

息苦しさや閉塞感を再体験しています。



したがって、

息苦しさや閉塞感を作り出す

おおもとの原因である

リミッティング・ビリーフ

『私は子どもであってはいけない』

を取り除くと、

パニック発作の症状が

消失するのです。






いかがでしたでしょうか?





次はお知らせです。





以下の日程で、


『プロセラピスト養成講座(第二期生)』


を開催することが決定しました。



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     『プロセラピスト養成講座(第二期生)』


【日時】 5/22(土)、23(日)、29(土)、30(日)
     6/19(土)、20(日)、26(土)、27(日)


【場所】 東京(市ヶ谷)


【定員】 約10名


【料金】 『サイコセラピー体験講座』にご参加いただくと、
     特別料金でのお申し込みが可能です。

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いつもの通り、

養成講座の概要説明と募集は、

『サイコセラピー体験講座(次回は2月13日)』
http://www.tanada-katsuhiko.com/index.php?PsychoTherapySeminar

の中でのみ行ないます。




専門性の高い講座なので、

不安や疑問を残したまま申し込んでみたところ、

「想像していたものと違った」といったような

間違いを防ぐためです。




『サイコセラピー体験講座』の中で養成講座の

概要説明を行ないますので、必要であれば納得

がいくまでご質問をしていただいて、講座の

内容や対象者等について、よくよく理解を

していただいてから、お申し込みいただきたい

と思います。






では、今回はこの辺で。





サイコセラピスト 棚田克彦