あるイベント会場で、カレーライスが振舞われた。

主催者と関係者からのご厚意だという。

これには驚いた。

 

だって、

80食近く、スタッフと出演者で用意するというのである。それも無料で。

 

最初この知らせを受けたとき、

「レトルトでも温っためるのかな」

くらいしか思わなかったのだが、

会場に着いてさらに驚き。

カレーは手作りで、野菜も山陰産の新鮮なものを使用するという。

この日ステージに立つ若い演者たちも、一生懸命に野菜を切っていた。

そこまでやるか?と、カレー炊き出しを企画した人たち全てに、感謝というか、そんなものを超越した「驚き」を禁じ得なかった。

 

ルーには、しっかりと野菜が投入され、

まさに「実家で食べる」あの、野菜ゴロゴロカレーだ。

じゃがいもが溶けだして、いぃまろ味を醸し出している。お店カレーではこうはいかない。ましてや、レトルトならなおさらだ。

栄養を重視した、実家の母ちゃんが作るあのカレーを、まさか遠く備後地方のイベントスペースで味わうことになるとは。

驚くと同時に、いかに最近母ちゃんのカレーから遠ざかっていたか気付かされる。

実家の年老いた母も、たまに会っても速攻で田中が市内に戻るために、ゆっくりと手料理なんか食べていないんだよなあ・・・。

山陰の野菜ゴロゴロカレーが、昔大好きだった母親の手作りカレーの味を思い起こさせてくれた。今度ゆっくりと実家に帰ろう。

 

 

このカレーの良いところは、野菜も肉もふんだんに使い、さらにはご飯のコンディションも「硬め」でちょうどよかったことに、

輪を重ねて褒め称えたい。

芯が残る一歩手前の絶妙な水加減で、ちょうどいい硬さを実現しているのは、調理したスタッフの中に、熟練の職人がいたからだろう。

米の歯ごたえが、野菜が溶けだしたルーと相まって、最高の一膳を創り出していた。ほんとうに見事な炊き加減である。

 

添え物のらっきょうも期待に違わず「鳥取産」であることなども、このカレーが紡ぎだす完璧感に拍車をかけていた。

 

 

たかが炊き出しの一杯というなかれ。

ここまでいいものを出してくれたら、見るほうも、参加するほうも、イベントには気持ちの入り方が違う。

利益だけを追って行ったら、当然こんなことは不採算極まりないことだろう。

だけど、

そういうものを飛び越えて、敢えてしんどくて心に残る事をやってみようという意気。

結局我々は、またこの主催者やイベント関係者に心酔し、「また次も参加しようか」となってしまうのである。

でも、こういった幸せの連鎖なら、何度だっていい。