動脈管開存症の手術 | 田辺獣医科病院スタッフのブログ

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今回は、動脈管開存症と診断されて、無事手術を終えたトイ・プードル、野村ポンちゃんのご紹介です!

動脈管開存症という病気の原因や病態、治療法については、当院ホームページ『大切なおはなし』の記事をご覧ください(近日、アップ予定です。)

ポンちゃんは、2016125日生まれの男の子です。生後3ヵ月齢のとき、心臓から雑音が聞こえたため、精密検査となりました。心電図、胸部レントゲン検査、心臓の超音波検査、血液検査をさせていただき、ポンちゃんは『動脈管開存症』という病気であることがわかりました。動脈管開存症は、犬の先天性心疾患なかで一番発症率が高いものです。しかし、この疾患は早期に発見して早期に手術をすれば、その後はこの疾患の無い犬猫と同様に、寿命をまっとうする事が出来るようになります。ポンちゃんも、生後4か月齢ですぐに手術となりました。

手術とは、動脈管を閉じることが目的となりますが、これにはいくつかの手術方法があります。ポンちゃんは『外科的手術:開胸下での動脈管結札』といって、直接胸を開けて眼で動脈管を確認し、糸で縛る方法で手術を行いました。

 

こちらは、ポンちゃんの手術前後の胸部レントゲン画像です。手術前のレントゲンでは、心臓は通常よりもやや大きく丸っこくなっており、肺は全域が白っぽく写っています。動脈管を通じて、必要量以上の血液が肺~肺静脈を経由して左心房、左心室へ流入した結果、心臓内の血液量が増えて心臓のサイズが大きくなっているためです。肺の中にも水分がしみ出てくるため、肺が白く写ります。

 

手術後は、肺と左心房、左心室に流入する血液量が減るため、心臓は少し小さくなり、肺はクリアになりました。ホッチキスのようなものは、医療用のホッチキス(ステープラ―)で皮膚を縫ったところです。

 手術直後、ポンちゃんの胸はこんな風になっていました。左下についているチューブは、胸に直接つながっている胸腔ドレーンというものです。術後に、わずかに出てくる血液やリンパ液等の体液、あるいは肺の外側にある空気を抜くものです。

 ポンちゃんは手術後、5日目には元気に退院して行きました。  スタッフM

 

文責:田辺獣医科病院