「七夕の願い」 作者:タナベエエエ
♀なるみ:1週間前に入院した小学生。
♂たっくん:小学生なので、女性が演じてもいいと思います。
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なるみ 「あなたの願いは何ですか?」
たっくん「これは七夕の約束した少年少女のお話。」
――――――
ペラッ
なるみ「はぁ~~…また違ったよ。はい、次はたっくんだよ。」
ペラッ…ペラッ
たっくん「やった!これで10組目。新記録だ!」
なるみ「~~~っ!もぉ~だめぇぇええぇ~!」
たっくん「…はぁ。またバラバラにして。なるみちゃんは神経衰弱が苦手なんだね。だったら、他のゲームにする?」
なるみ「ん~~。もうトランプはあきたよぉ~~。…あ!そういえば、たっくんは七夕のお願いは何にしたの?」
たっくん「え?急だなぁ。…僕は。……っ。な、なるみちゃんは?」
なるみ「わたしはね!たっくんと海に行きたい!水着も買ったんだよ、うふふ。」
たっくん「そっか…!それなら、僕も同じ願いにしようかな!」
なるみ「本当に?!嬉しい!」
―――――
たっくんM『僕らは病室で思いつく限りの遊びをした。もう1週間もトランプゲームをしている。それが楽しかったかと聞かれれば、小学生の僕らからすればひどく退屈なもので。空気の澄んだ田舎の個室では驚きも緊張もなかった。』
たっくん「七夕って、まだ一か月あるじゃないか。急にどうして?」
なるみ「だって、今年の七夕は晴れそうだから!満天の星のもとで恋する2人が出会うなんて、とっても素敵じゃない?ロマンチックじゃない?私、楽しみなの!」
たっくん「晴れるって…天気予報は1か月先でも分かるものかな?」
なるみ「私が晴れるって言ったら、晴れるの!妖精さんもそうだよって言っていたもん。むぅぅ。」
たっくんM『なるみは正夢を見ることができる。みたいと思った事を夢でみることができる普通ではありえない事ができる。見てしまうのではなく、見ることができるのだ。これは僕らだけの秘密。』
たっくん「もっと有益な夢をみるようにしろよ。もったいないなぁ。1週間に1回しか見れないんだから。」
なるみ「…うん。………たもん。」
たっくん「ん?どうした?…あ、そろそろ帰る時間だ。また明日!」
なるみ「うん!バイバイ!」
――――――
たっくんM『そんな約束も忘れ、七夕まで残り1週間となった日。僕は退屈で退屈でなるみちゃんに聞いた。』
たっくん「なぁ、夢みないのか?いつまでここにいるのとか。」
なるみ「え?あ、…そうだね。みたよ。退院した日は…七夕、だったよ。」
たっくん「!なんだよ!そうなのか!…?もう、体調は良くなったのか?」
なるみ「…うん。うん、そうなんだ!私、……私!」
たっくん「?」
なるみ「ねぇ、私…っ。死にたくない…。」
たっくん「?!」
なるみ「死にたくないの…。どうしてっ…私だけ…っ。嫌だ、やだよぉ…。」
―――――
たっくんM『僕はすべてを悟った。なるみちゃんは死ぬ。でも、分かったからってどうすることも、なんて声をかけていいのかも分からなくて僕も泣きそうになっていた。』
たっくん「…な、なら…っ、代わるよ。僕が…僕がっ。」
なるみ「嘘つかないでよ。」
たっくん「え。」
なるみ「できないくせに…!なんでそんな嘘をつくの。っ……ひくっ…。」
たっくん「僕は…っ。」
なるみ「え…?」
たっくんM『僕はなるみちゃんを抱きしめることしかできなかった。そして、願った。おり姫様、ひこ星様。僕のなるみちゃんを救ってください。僕のいのちをあげるから。お願いです。そんな願いも叶うことはないと知りながら僕はただひたすらに強くなるみちゃんを抱きしめていた。』
たっくん「ごめん…。僕はなにもできない。ごめん。」
たっくんM『なるみちゃんは泣き続けいたが、いつの間にか眠りについていた。僕はなるみちゃんの正夢がなくなればいいと思っていた。きっと、なるみちゃんは自分が死ぬ夢を見続けている。何度も、何度も。』
――――――
なるみ「バイバイ、たっくん。」
たっくんM『その時のなるみちゃんの顔を僕は一生忘れない。いつの間にか帰る時間になっていた。その一言を聞いて、僕は無言で病院を飛び出した。』
なるみ「バイバイ…たっくん。さよならだよ。」
―――――
なるみ「…ん?…ママ、おはよう。手術は終わった…?うん。大丈夫よ、私は。」
なるみM『数日起きなかった私に何度も泣きながら頭を撫でてくれる。この優しいぬくもりに既視感があった。私は生きている。』
なるみ「…プラネタリウム?…あ、そうか、今日は七夕だったんだ…。」
たっくん(回想)『そっか…!それなら、僕も同じ願いにしようかな!』
なるみM『私は心臓の病気で、治すためには同じ子供の心臓が必要だった。お金持ちの私には簡単な、誰でも思いつくようなストーリーだった。身寄りがいなくて、子供が少ないこの村でたっくんは私の為に犠牲になった。』
たっくん(回想)『え?急だなぁ。…僕は。……っ。な、なるみちゃんは?』
なるみM『たっくんの願いは知ってる。…死んだ両親に会うこと。なんて無駄なこと。私はその願いを叶えさせたの。そして、自分の願いも。ママもいなくなった病室で1人、満天の星を見上げた。』
なるみ「傷ものになっちゃった…。たっくん。ほら、やっぱり晴れたでしょう?星がきれいに見えるよ。……。返事は…ない、よね。ははは。たっくん、大好きだったよ。」
たっくん「今年の七夕も雨だった。」
終わり
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