朝日が登る頃、九州へ到着しました。
大祭開式時間まではまだまだ早い早朝。
近くの温泉を探し、ひと休憩する事になりました。
私は全身が傷だらけで、とても人前で肌を見せられる状態ではありませんでした。
もちろん、毎日の入浴は水に触れると激しい痛み。
温まるとジガジガと気持ち悪く、入浴後は激しい水分蒸発に合い苦痛を伴っていました。
しかし、同行して下さった方が
「今日は大丈夫よ。何も怖がる事はないのよ。」
私にそう言いました。
そして辿り着いたお湯屋は、湯治に使われる施設で私でも入浴する事が出来たのです。
お湯に浸かると…
不思議なことに肌がジワジワと「緩む」のがわかりました。
この感覚は巫病以来初めての感覚。
お風呂が気持ち良いと感じていた頃を思い出し、自然と涙が溢れました。
「あぁ。もうすぐなんだ」
なぜか、そんな事を心の中で呟いていました。
今思えば、この入浴は神社に足を踏み入れる前の「潔斎」(身の穢れを祓う)だったのだと思います。
心の不安、積み重なった様々な出来事からの穢れ。
諸共洗い流す。
御神様に出逢う前に必要な出来事が自然な流れで行われていたのです。
そして身支度を整え、いざ神社へ向かう時が来ました。