六十九、子供父さん『校長室の掃除をする』の巻

 

 この物語は、私の子供たちが小さいころに、寝物語

に話した物です。思い出したので書いてみました。コ

メント等ありましたら、遠慮なくお寄せください。お

待ちしております。

 

信くんが言いました。

『今日は、学校のお話が良いな~』

お姉ちゃんも言いました。

『賛成!』

父さんが言いました。

『はい、じゃあそうしましょう。』

そう言うと父さんは話し始めました。

 

 子供父さんが学校で、色んな事をして楽しんだのは、

前にも話したよね。今日も、その話で良いかな。
 小学校も高学年に成ると、低学年特に1年生何かの
お部屋の掃除を手伝いに行くんだ。けれど、何でなの
か、自分たちの教室は、掃除をするのが面倒なんだけ
れど、1年生の部屋のお手伝いをする時には、小さい
子たちが見ているからか、一生懸命にそうじをしたの
を、覚えているな~。
 中でも、床磨きなんかは、特に、懸命にやりました。
木のタイルを1枚磨くと、隣が気に成り、次々と磨き
上げて、自分達が任された、1年生の教室の前の廊下
をピカピカに、磨き上げた事が有りました。
 それを、校長先生が気がついてくれて、朝礼で褒め
てもらったものだから、もう、止まりません。子供父
さん達がまかされた、教室の前の廊下は、いつも、ピ
カピカでした。他にも、飼育係で、植物の水やりや、
にわとりや、ウサギ何かの餌やりもしました。
 一度何か、菊の花の鉢植えを、先生に教わりながら、
育てたことが有りました。秋になり、立派に育った、
鉢植えの菊を、近所の交番に配ったのを思い出します。
 こんな事も、ありました。2回の窓から外に出て、
1階の屋根の上に降りて、そこの端から、校長室の前
に植えてある、松の木を伝って、1階の庭に降りた事
があります。運が悪くと言うか、当然と言うか、それ
を、校長先生に見つけられてしまいました。
 校長先生は、やさしく手まねきして、校長室に呼ば
れました。そして校長室に入りました。校長先生は、
『君が木から落ちて怪我をしたら、私が悲しいので、
止めてくれないか、』と言いました。子供父さんは、
校長先生が悲しむ事は、しない約束をして。飴を一つ
もらいました。舐め終わってから、他の先生や、皆に
は内緒だよ、と言われました。子供父さんは、その事
を、誰にも話しませんでした。校長先生を悲しませる
事は、したくなかったからです。もちろん、松の木を
登る事も、降りる事も、止めました。子供父さんは、
何て、素直な良い子だったんだろうと、今も思います。
 そんなある日、子供父さん達は、校長室のお掃除を
する事になりました。校長室は、教室よりの小さかっ
たので、すぐに、掃除は終わりました。
 そこで、定番のチャンバラごっこです。子供父さん
のチームと相手チームに分かれて、戦います。夢中に
なって戦っていると、子供父さんのほうきが、何かの
トロフィーに触れて、先っぽが、ポきりっと折れてし
まいました。子供父さん達は驚きました。でも、綺麗
に折れていたので、上に乗せると、壊れていない様に
見えました。そこで、子供父さん達は、黙っている事
にしました。
 そして、後から、何日たっても何も言われませんで
した。そのうち、子供父さん達は、その事すら、忘れ
ていました。
 やがて、校長先生が、子供父さんのいた、学校を辞
める日が来ました、子供父さんはなんだか、悲しくて、
休み時間に下駄箱の所に行くと、ちょうど、校長先生
が帰るところでした。校長先生は、子供父さんを見つ
けると、軽く抱きしめて、優しく、こう言いました。
『もう、壊したらだめだぞ。』校長先生は知っていて、
かばって居てくれた事を、子供父さんは、その時初め
て知りました。それからあとは、悲しくて、切なくて、
苦しくて、『ごめんなさい。』と小さな声で言った事
しか覚えていません。そんなこともあったかな。
今日のお話はこれでお終いです。

信くんが言いました。
『優しい校長先生だったんだね。』
お姉ちゃんが言いました。
『壊すのはいけないと、思います!』
父さんが言いました。
『そうかもしんない。』

おやすみ ナスビに きゅうりに トマト