六十二、子供父さん物語り    
      『ガムの味はお灸の味』の巻
この物語は、私の子供たちが小さいころに、
寝物語に話した物です。思い出したので書い
てみました。コメント等ありましたら、遠慮
なくお寄せください。お待ちしております。
           
信くんが言いました。      
『今日は、山じゃない、お話が良いな~』
お姉ちゃんも言いました。    
『私も、そう思います。』    
父さんが言いました。      
『分りました、そうしますね。』  
そして、父さんが、話始めました。  
           
 子供父さんが、色々な事をして、楽しんだ
のは、話したけれど、失敗の、お話も、多か
ったよね。今日は、その失敗の、お話の一つ
を、話そうかな。      
 子供父さんの、お友達は、地元の商店街の、
お店の子供も、多くてね、ヒマな時なんかは、
よく、商店街を、うろちょろ、していました。
 今でも、良く覚えているのが、そーだな~、
友達の家で、やっていた、八百屋さん、この
お店には、子供父さんの家から、近い事も有
って、良くお買い物に、行きました。なんで
かと言うと、いつも、おまけを、してくれる
からでした。        
 ジャガイモや、玉ねぎを、買う時なんかは、
ざるに入った、ヒト山いくらの、やつを買う
事が、多かったんだけどね。必ず、となりの
山から、何個か、余計に入れて、くれたのさ。
大根や、カブ何かを、買うときにも、一番大
きな奴を、くれたね。サツマイモや、サトイ
モなんかも、同じ様に、おまけして、くれま
した。          
 他には、そーだな~、おもちゃさん、や、
お茶屋さん、なんかにも、友達が居たね。友
達の家でなくても、面白いお店が、たくさん
あったね。        
 お魚屋さん、なんかは、お婆ちゃんが『い
サバ屋』なんて、呼んでいたね。漢字や、意
味は、なんとなく、わかった様な、気がしま
したが、友達との、間では、使いませんでし
た。          
お魚屋さんでは、1匹のお魚を、きれいに、
切ってくれました。この作業を『さばく』と
言います。さっきの『イサバ屋』さんに、少
し似てますね。      
 お店で、豆を炒って、良い匂いのする、豆
何かを、たくさん置いてある、お菓子屋さん、
なんかもあったね。      
 お勉強が、あまり好きでは、なかった、子
供父さんは、本屋さんには、余り行きません
でしたが、種や、苗を買いに、お花屋さんに
は、良く行きました。でも、花束は、高くて、
買えませんでした。      
 少し前にテレビのコマーシャルで、入院中
のお母さんに、お花を買いたくて、お花屋さ
んに行った、男の子の話が有りました。お花
屋さんの前で、小銭をにぎりしめて、お花が、
買えない事を、知った男の子が、涙ぐんでい
る、様子が出ていました。子供父さんには、
あの子の気持ちが、少し、分りました。えっ
何だって、その子は、どうしたかって?その
子は、公園に行って、画用紙に、お花の絵を
描いて、持って行ったのさ。えっ何だって、
子供父さんなら、公園の花を、採ったんじゃ、
ないかって?        
 マッ、そんな事は、どうでもいいとして。
多くのお店の中で、子供父さんの、お気に入
りは、ケーキ屋さんでした。ガラスの、向こ
う側で、次々に、魔法の様に、出来あがって
いく、ケーキを、飽きもせず、ずーっと、眺
めていたよ。        
 中でも、忘れられない、思い出が有ります。
その時、子も父さんは、ある、お店の前に、
居ました。そこには、前に、買った事のある。
風船ガムが、ありました。そのとき、子供父
さんは、お金を、持って、いませんでした。
ですので、その、風船ガムは、買えませんで
した。          
 でも、子供父さんは、その、風船ガムには、
当たりがあって、当たると、もうひとつ、も
らえる事を、知っていました。そこで、子供
父さんは、もし、だまって、ガムを捕っても、
当たりだったら、そのガムが、もらえる様な、
気がして、盗ってしまいました。  
 でも、残念ながら、そのガムは、ハズレで
した。しかたがないので、子供父さんは、も
うひとつ、盗りました。でも、それも、また、
ハズレでした。そして、3個目を盗ろうと、
した時に、お店のおばさんに、捕まって、し
まいました。そのまま、家に、連れていかれ
て、ひどく、怒られました。    
 とくに、お婆ちゃんは、ものすごく、怒り
ました。子供父さんの、手を握らせて、人差
し指の、曲がるところに、変な草をもんで、
小さな、山みたいにして、つばを付けて、ひ
っ付けました。指の曲がったところに、小さ
な、草の山が出来ました。何をされるのか、
分らない、子供父さんは、じっと、していま
す。          
 子供父さんの、手を握ったまま、お婆ちゃ
んは、お線香に、火をつけます。お線香の、
火を消してから、お線香に、息を吹きかけま
す。すると、お線香が、赤く光ります。ちょ
うど、炭の火の様です。それから、お婆ちゃ
んは、そのお線香を、草の山に近付けて、草
の山に、火をつけます。子供父さんは、これ
から、何が起こるのか、やっと、想像がつき
ました。        
 やがて、指が、熱くなってきます。でも、
お婆ちゃんは、子供父さんの、手を離しませ
ん。やがて、火は小さくなり、終わりました。
皆さんは、分らないかも、しれませんね。こ
れが、お灸を、すえると言う、事だったんで
すね。又一つ勉強になったなー、えっ、何だ
って?そんな勉強は、したくないだって?普
通はそうだね。今日のお話はこれでお終いで
す。今日のお話は、なんか、後味が悪いな~。
まっいいか。        
           
信くんが言いました。      
『指、熱くなかったの?』    
父さんが言いました。      
『熱かったね。』      
お姉ちゃんが言いました。    
『泥棒は、いけません!』    
父さんが言いました。      
『そのとおりです!      
      良く判ったなー偉いぞー』
           
おやすみ ナスビに きゅうりに トマト