五十七、子供父さん『山に登る』の巻 
                                      冷凍みかん編
           
この物語は、私の子供たちが小さいころに、
寝物語に話した物です。思い出したので書い
てみました。コメント等ありましたら、遠慮
なくお寄せください。お待ちしております。
           
信くんが言いました。      
『今日も山登りのお話が良いな~。』  
お姉ちゃんも言いました。    
『うん。私も、それでいいよ。』  
父さんが言いました。      
『今日は、冬の山登りのお話をします。』
そう言うと、父さんは、話し始めました。
           
 子供父さんは、山登りが、好きだった事は
何回かお話したよね、山登りは、多くは、春
から秋までが多かったね。    
 春は、町の中が、暖かくなっても、山には
まだ、雪が残っていたりして、寒い日も有っ
たよ。暑い夏だって、山が高くなると、少し
づつ、寒くなっていくんだ。だいたい100
m登ると0.6度くらい、気温が下がるなん
て、言われているよ。だから、千mの高さだ
と、6度くらい温度が、下がるんですね。
 ここで、問題です、2千mの山では、どれ
くらい、温度が、下がるでしょう?1000m
で6度だから、単純に計算すると、12度下
がります。夏、町の中で30度の暑い日でも、
2千mの山の上では、気温が18度位に、なる
事もあるんだね。      
 その上にです、風が吹くと、体に感じる、
寒さの感じ方が変わります。風速1mで、体
に感じる温度が、だいたい1度くらい、下が
ると言われています。簡単に計算します。町
の中で、30度の気温の時、2千mの山で、
風速18mの風が吹くと、(こんなに強い事
はあまりありませんが)どうなるでしょう?
 まず、2千mの高さで、12度気温が下が
ります。ですから、気温は18度ですよね。
でも、これに、風速18mの、風が吹くと、
さらに、感じ方が、18度下がります。つま
り、体に感じる温度は、30-12-18=0
度になります。だから、夏でも、注意が必要
なんですね。        
 よく、夏何かの、ニュースでも、山登りの
途中で遭難して、死亡した方で、疲労凍死(
疲れて・寒くて、死んじゃうこと)なんて、
言う事がありますが、この、夏の凍死は、こ
んなわけで、なってしまうんですね。  
 でも、子供父さん達は、元気なので、もち
ろん、冬山にも登りました。冬用のテントを
使い、雪で囲いを作り、その中にテントを、
張ったり、避難小屋の中に、テントを張った
りして、泊りました。      
 冬は、夏と違い、雪が有りますから、雪を
溶かせば、水が手に入ります。でも、困る事
もあります。注意しないと、タンクの水が凍
って、しまうのです。あるとき、何か、夜中
に起きて、水を飲もうとして、水筒に手をや
り、ふたを開けて、飲もうとしたら、水では
無くて、氷が、口の中に、落ちて来た、なん
てことも、ありました。    
 水が全部、凍っていたんですね。でも、良
い事もあります。食事ですが、おにぎりも凍
るので、凍る前には、普通に食べれますが、
凍ると、食べれませんね、でも、夏みたいに
は、くさりません。ですから、お湯を沸かし
て、その中に凍ったおにぎりを、入れて煮る
と、おじやが出来ます。おにぎりの具を、工
夫すれば、美味しく頂けるわけです。  
 みかんなんかも、凍りましたね。シャーベ
ットみたいになったミカンの皮を、手で暖め
ながら、むいて食べるんですね。それでも、
みかんは、食べれるので、良い方です。
 子供父さんが、困ったのが、大きなかたま
りの、チョコレートです。これも、冷えると、
固くなります。しかたがないので、石でたた
き割って、食べました。こんな苦労も、あり
ましたが、そんな事には、もちろん、子供父
さん達は、めげませんでした。  
今日のお話はこの辺でお終いです。  
           
信くんが言いました。      
『何でも、凍っちゃうんだね。』  
お姉ちゃんが言いました。    
『寒すぎです!』      
父さんが、言いました。    
『そこが、楽しいんだな。』    
           
おやすみ ナスビに きゅうりに トマト