本人のやる気が不十分なので、ブログを書く意欲が失せていました。

最難関を目指すというのは口だけで、実際はかなり厳しいと思っています。

本人の受験なので、失敗してもそれはそれで構わないと、丹念に取り組まない姿勢を受け入れることにしました。

 

さて、本日、静岡県知事が辞職願を提出されたようなので、思ったことを書いてみます。

 

突然ですが、国語の問題です。

次の選択肢の中からもっとも適切なものを1つ選びなさい。

 

ア 毎日、毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかということと違って、シンクタンクとも言える県庁の役人は基本的に知性の高い方たちである。

 

イ 毎日、毎日、牛の世話をしたり、モノを作ったり、シンクタンクとも言える県庁の仕事とかということと違って、野菜を売る農家は基本的に知性の高い方たちである。

 

ウ 毎日、毎日、野菜を売ったり、モノを作ったり、シンクタンクとも言える県庁の仕事とかということと違って、牛の世話をする酪農家は基本的に知性の高い方たちである。

 

エ 毎日、毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、シンクタンクとも言える県庁の仕事とかということと違って、モノ作りに従事する人は基本的に知性の高い方たちである。

 

 

正解は、「ア」でしょうね。

もっとも適切なものを1つ選ばなければならないとすると、第一次・第二次・第三次産業の相違と、シンクタンクという語の意味から正解を導くのが妥当と思います。

「エ」のモノ作りがどういうレベルのモノで、どの段階から作るのかで話は変わると思いますが、ここでは議論を単純化するためにそこまで難しいものではないという前提にしておきましょう。

 

ここからが本題です。

正解であるはずの「ア」と同じ内容を発言※した静岡県知事は批判にさらされて、辞職することになりました。

政治家として、あらゆる職業の人を差別なく扱うことがより求められる県知事としては、大きな失態でした。

※県庁の新入職員に対し、「県庁というのはですね、別の言葉でいうと、シンクタンクです。毎日毎日野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたり。あるいは物を作ったりとかいうことと違って、基本的にみなさま方は頭脳、知性の高い方たちです」

 

彼を擁護するつもりはありませんが、彼に職業差別の意図はなかったと思います。

彼の会見での釈明を聞く限り、彼の発言の根本にあるのは、相対的に知性が必要なのはどの職業かという観点だと感じました。

その観点自体は、多くの人が正しいと考えるでしょう。

 

もちろん、知性の高い農家さんもいると思いますが、土と水と太陽光があれば基本的に育つ農業では高レベルな知性はいらないはずです。(作物によっては高い知性が求められる難しいものもあるかもしれませんが、ここでは議論を単純化します)

人は生きていくために食べなければならないので、そういう意味では、第一次産業従事者にこそより大きな敬意を払うべきだと考えますが、それは高い知性が必要かどうかとは別の観点です。

 

今回の事例は、本当のことを言ってはいけないという教訓ですね。

一方をもちあげるために、他方を落とす対比構造をとると、その他方に属する人を傷つけることになるからでしょう。

公人である政治家としては致命的なミスでした。

もし、「イ」や「ウ」や「エ」の発言であれば、意味が通らないことを言っているとして、ここまでの批判は受けなかったのではないでしょうか。

 

ちなみに、最難関大学の偏差値ということでいえば、通常、農学部<理学部≒工学部となっていると思います。

東大でいえば、理二<理一の序列が崩れたことはないはずです。

同じ理系でも、第一次産業よりも第二次・第三次産業につながる学部のほうが難易度が高く、より高い知性が求められるということですね。

 

知性がより必要なのはどの学部か、どの職業かという視点は、特にこれから社会に出る若い人は知っておいたほうがいいと思います。

ただし、それを人前で口にしていいかということは、慎重に判断すべきであって、そういった正しい判断をできる知性も同時に身につけたいものですね。