前回に続いて、地頭を鍛える方法と小学校低学年時の算数の先取りについて考えてみました。

 

前回の記事1↓

 

  地頭を鍛える点で疑問がある方法

 

一方、同じ算数の学習でも、地頭を鍛える点ではあまり役立たないと思われる方法もある。

それは、小学校低学年から先取りして算数の勉強をしてしまうことだ。

具体的には、知名度の高いトップクラス問題集などの難しめの算数問題集に手を出してしまうことである。

 

ものは試しと考えてトップクラス問題集を丹念坊に少しやらせたこともあるが、率直に言ってあまり意味はなかった。

問題文の日本語や、問題の設定が複雑でわかりにくいだけで、数学的素養を伸ばす良質な問題は少ないと感じたからだ。

出題できる算数の範囲が低学年ゆえに限定的なため、問題文や設定の難度を無理して上げているにすぎないという印象だ。

 

もっとも、全国統一小学生テストなどでランクインしたい向きには、必要な教材なのだろう。

要するに目的が異なっており、小学校低学年から難度の高い算数模試で好成績を出すことに意義を認めるか否かとも言える。

 

この論点は、宗派争いのようなものではないかと感じている。

「小学校低学年から先取りして算数の勉強をする派」は、当座の学力を上げ、維持向上し続けようとする。

それにより、中学または高校受験で先行して優位に立とうとする戦略なのだろう。

 

「小学校低学年では算数パズル的なもので思考力を高める派」は、目先の学力にはこだわらず、地頭を鍛えようとする。

そして、いずれやってくる受験において、高いレベルで効率よく勉強できるようにする戦略である。

 

前者は早期に点数という形で可視化できるが、後者はそうではないので、不安になる親がいるのかもしれない。

その気持ちは理解できるが、小学校低学年では、先を進むより頭を使う問題を優先して与えるのが王道と言えるのではないか。

 

前者の戦略が奏功したとしても、一般に中学受験の学習内容が難化する5年後期頃から優位性は劣化していく気がする。

結局は地頭を反映した成績順になるとか、高い偏差値を維持できたとしても思考力系の問題を多く出題する学校には受かりにくいといったことになるのではないかと予想している。

このあたりのことは、いずれ改めて言及してみたい。

 

  それでも算数の先取りをしたい場合

 

それでも算数の先取りをしたいというのであれば、『スーパーエリート問題集』が適切であると考えている。

地頭がどれほど鍛えられるかは疑問であるが、以下の方法であればトップクラス問題集の弊害をある程度避けられると思う。

 

それは、文章題を除き、星2つまでの問題に取り組む方法である。(星3つはかなり難しい。否、星2つでも十分難しい)

取り組む順番は、ページ順ではなく、星1つを終わらせてから星2つとするのが続けやすくてよいだろう。(丹念坊も途中からそうした)

立方体の切断の単元もあり、図形に関する思考力を低学年から養う(というより、触れて慣れておく)という点で有益のはずだ。

図形以外の単元についても、トップクラス問題集とは設計思想が異なり、将来を見据えた奥の深い良質な問題が多いと思う。

 

文章題については、付録の「おもしろ文章題えかきざん」のコンセプトが良いので、これだけやればこの時点では十分だろう。

絵を描いて文章題を解くというコンセプトの別冊であり、文章題におけるトップクラス問題集の弊害を避けるものと言えよう。

丹念坊は、「おもしろ文章題えかきざん」と星2つまでの問題を解いた。(星3つは一部)

少しやりすぎたと思っているが、現在の算数力に寄与している部分があるかもしれない。

 

ただ、スーパーエリート問題集は楽しくないと丹念坊が言っていた点を付け加えておく。(「おもしろ文章題えかきざん」は楽しんでいた)

小学校低学年時に楽しくない学習をさせても効果は乏しいだろうという視点は、非常に重要だと思う。

 

スーパーエリート問題集が楽しくないのは、自分の頭で試行錯誤する喜びが乏しいことに加え、分からないときに教わることになるからだろう。

教わらずに子どもが独力で解決できるレベルではないことが、この種の問題集の問題点だ。(天才児は別かもしれないが)

 

  丹念坊の算数力

 

丹念坊は、算数について、最近、次のような状況にある。

・予習シリーズ5~6年は独学で先取り(理解不足のため教えたのは、食塩水問題の概念と、順列・組合せの違いくらい)

・難問であっても解説は自分で読んで理解(何度か読めば分かるらしい。多少疑問だが・・・)

・思考力系の問題には強い(ミスをしがちなA問題よりも初見力の試されるB問題で力を発揮する)

 

勝手に本人が自学自習しているので、手がかからず、こちらはラクである。

しかも、ある種楽しんで取り組んでいるのは、素晴らしいと感じている。

 

自分の数十年前の中学受験時を思い起こすと、算数を独学で先取りしたことはない。(したとしても、丹念坊のようにできたとは思えない)

思考力系の問題には苦手意識があり、初見力が問われるB問題よりもA問題を得意にしていた。

小学校低学年時に思考力を伸ばすような算数パズル系の問題を解いた記憶はない。(当時そのような市販教材は今ほどなかったと思う)

 

このように考えると、両親から地頭の点で良い遺伝子を受け継いでいるとしても、後天的に地頭を鍛えたことの貢献は大きいはずだ。

※当然ながら、そうしなかった場合と比較できないので、感覚的な見解である。

 

そんな丹念坊の算数偏差値は最新のSOでは64に過ぎず、現時点ではいささか説得力の弱い記事になってしまったかもしれない。(直近の組分け、SOの平均でもS60台後半程度)

本人が自己申告しているところの「ミスのない本当の実力」とやらを、早く見せてもらいたいものである。

(彼がミスしなくなった頃には、他の子たちも同様となり、偏差値は変わらないかもしれない・・・)