自らのちゃちな狂気を自覚している
断崖の私を、醜い獣に変えずにいたのは
あなたたちがいたからだ


いつの間にか気が付いたら朝になって
スリーティアーズに彩られた表情を見返す
映画のワンシーンを目に焼き付けるように
着物の帯が解けぬよう結ぶみたいに
何度も何度も噛み締める


キスは復讐の味がした
そんなことはなかった ただ幸せだった 
たとえ雨でも、一つの傘に身を寄せ合って
街を手をつないで歩く ただ幸せだった


もし世界にとってありふれたことだったとしても
私にとってはかけがえない
僕ら一人ではだめだ
揺れるピアスと一緒に僕の心も揺れる
私にとってはかけがえない
僕ら一人ではだめだ


いつの間にか気が付いたら朝になって
肩を叩き合うばかたちを日が照らす
アルコールは逃避ではなく 語らいのために使いたい
共に話し、笑うだけで獣から1歩遠ざかった


当時は何でも眩かった
青臭かろうと ただ楽しかった
埃被った本も頁をめくれば、懐かしさが蘇るように 
ただ楽しかった 


もし世界にとってありふれたことだったとしても
私にとってはかけがえない
僕ら一人ではだめだ
摩耗する中で支えになる空隙は
私にとってはかけがえない
僕ら一人ではだめだ


生きることはなぜかつらいことだ
窓辺から見える電柱を追い越すように
ここで倒れてしまおうと、あと少し歩こうを繰り返す
光と影を行ったり来たりする旅人


さんざめく荒野の中で、一人繰り返す
「終わってたまるか。まだ見てない景色があるじゃないか。」
6弦の切っ先で筆を走らせる
和音を書き鳴らしながら言葉を重ねる


空虚でくり貫かれた心臓の幻肢痛
涙がどうしようもなく流れる静かな夜
言葉の雨あられを、傘も差さずに歩いて、濡れた染みを
忌まわしくも、まだ捨てられずにいる
今、雨が降り続き濁流の川になった
そんな中を藻掻き泳いでいる
火をつけろ、果てない悲しみに対して振り下ろした軌跡で

 
今も変わらず、笑い合える友がいるなら
それを希望と呼ぶ

こんな世界で、共に愛することが出来るなら
それを希望と呼ぶ

今も鈍く輝く星のような思い出があるなら
それを希望と呼ぶ

日も射さぬ驟雨で、それでもと綴った詩
それを希望と呼ぶ

影のように付きまとう、嘲笑を焼き尽くす音
それを希望と呼ぶ

何もかもを追い越して、君に会いに行く道
それを希望と呼ぶ

今も変わらず、笑い合える友がいるなら
それを希望と呼ぶ

こんな世界で、共に愛することが出来るなら
それを希望と呼ぶ