女房に「ねえ、おぼえてる?」と言われ3月6日の今日、結婚記念日と

気が付いた。そうだ、もう53年になるのだ。いいこと、悪いこといっ

ぱいあって現在に至ったわけであるが、女房にしてみれば下仁田へ嫁ぎ

そこで暮らすつもりが、結婚二年目にして亭主が転勤で東京へ出てくる

はめになり、自分も一緒に出てくるようになるとは夢にも思っていなか

っただろう。

 

親会社の社宅が浦和にあって、そこへ入居することになり、いきなり

都会生活。私が勤めに出た後、見知らぬ土地に一人っぽっち残され、右

も左もわからない生活が始まった。

既に社宅に居住していた人たちの奥さん方は皆大学出らしくお高く留ま

っているように見え、近ずき難く孤独な寂しい毎日であった。

 

私は、というと自分から臨んできた新天地で胸膨らませ、仕事は大変で

あったが夢見た漫画の世界への道程へ歩み始めたつもり(実際はそんな甘い

ものではなかったが)で毎日がそのための辛苦であると思い希望に満ちた

日々を過ごしていた。

その後、子供ができて女房の方は親同士のお付き合いで知り合いの輪が

広がり、自分なりの居場所も確保していったようだった。

 

53年、なにしろ色々あった。結局、才能なし、努力不足の私は職業漫画家

にはなれず、住み慣れた社宅の傍にまがいなりにマイホームを確保、今では

地域に根をおろし一コマ漫画の普及その他活動。女房は一家を牛耳る女傑と

なり家族円満を維持してくれている。