政治漫画の所ゆきよし氏が亡くなった。76才、私より3つも若かった。
所さん、ご本人と初めてお会いしたのは7年前、我らが「日本漫画の会」が
日本漫画家協会賞で特別賞をもらい、その表彰式での懇親会席上であった。
私を真ん中に左が所さん
勿論、氏は既に有名な漫画家で毎日新聞等で政治漫画で活躍、氏の描く政治家の
似顔に絶賛していた私は本人にお会いしただけで感激。図々しくも自己紹介などした
あげく、氏の作品評などを繰り出す始末。
その時を機に、その後の「紙上くまんばち展」を送りつけたり、氏も自分の作品集を
送ってくれたりと、そんな付き合いが始まった。
今年の春、STAGE-1「所ゆきよしMANGA展」が開催され、コロナもやや
落ち着いたのでご本人にお会いできれば、と出かけて行ったのであった。
会場へ着き芳名簿に記帳して作品を見始めると、何やら話しかけてくる人物がいる。
「ええっ」。心の中で叫んでいた「所さんだ、向こうは私と認識してはなしている。
しかしこの変わりようは何か」。上部掲載写真の精悍さはなく、ひどく痩せられ、
顔色も良くない。これは何かとの闘病中ではないだろうか?
ようやく所さんと察知したがその容姿について訊ねる勇気はなく話はつづいた。
作品制作について色々聞かせてもらい、最後に「今、こんなのが使い勝手がよいの
で使っていますよ」と言って内ポケットから出して見せ「よかったらどうぞ」と
差し出しこの手に握らせてくれた。
それがこのサインペンである。
プロ中のプロが数々の傑作を描いたであろうこのペン。大喜びで持ち帰ってきました。
そしてその数か月後の訃報。
「ええっ」の驚きのあと「やっぱり」の思いが交差した。
まだ、もっともっとこれから長いお付き合いができるだろうと思っていました。
同年代のあなたの活躍が日頃の励みでありました。知り合って僅かでしたが
気にかけていただき有難うございました。
安らかにお眠りください。(合掌)