4月文楽公演 第1部
猿の皮を欲しがるのは大名(男性)。
歌舞伎の靭猿は女大名でしたね(狂言の靭猿も男性だそうです)。
人形なので、猿の動きはコミカル&リズミカル。
ピョンとジャンプして一気に猿曵(さるひき)の肩や頭に乗っちゃったり。
可愛らしい。
そして何といってもお目出度い演目。
これからいよいよ、襲名披露です。
千歳大夫さんが司会役。
三味線方からは寛治さん、太夫からは嶋太夫さんが、先代の玉男さんのエピソードなど。
人形遣いからは、同世代で仲良しの勘十郎さん、和生さんがご挨拶。
歌舞伎と違って、襲名される玉男さんは一切しゃべりません。
でもこの後の演目で、「芸」の力で語ります!

ポストカードもゲット
歌舞伎とは衣装が違う熊谷さん。
最後の出家のときも、もとどり(髷)を切っただけで、サイドに髪は残ってました。
兜をとったときに、いきなりスキンヘッドじゃないです。
まず良かったのは、「熊谷桜の段」。
『熊谷陣屋』だけだと、藤の方だけでなく、
弥陀六、梶原まで屋敷の奥にいることになってますが、
「熊谷桜の段」では、弥陀六が石屋の親爺として
連れてこられるところからやってくれているのでわかりやすい。
例の「幽霊のご講釈」も納得です。
このあたりの話は、このブログに詳しく書いてありますよ(って自分やんけ)。
熊谷さんの屋敷、ふすまじゃなくて障子。
藤の方が青葉の笛を吹く所では、
屋敷の奥に敦盛卿の影が。
(歌舞伎では上手側でしたよね)
義経さん一人で登場、四天王はいません。
いよいよ首実検。
首桶を開けてちらりと見えたわが子の姿に、
思わず近寄る母の相模ですが、
熊谷も本気で止めます。
倒して足で上から踏みつけて動かけなくするほど。
そこへ駆け寄る藤の御方。
見られないように扇を首に立てかけます。
そして、制札で藤の方を押さえて、
「お騒ぎあるな~」
からの
制札の見得。

イメージ画像はイヤホンガイドのくまどりん
最後の熊谷は
「十六年は夢であったなあ・・・」
と、しみじみ出家です。
(歌舞伎、團十郎型の「十六年はひと昔、夢だ、夢だ。」ではないです。
芝翫型はどうなのでしょうか)
玉男さんの熊谷、勘十郎さんの藤の局、和生さんの相模でした。
空気が乾燥していたからか、咲太夫さん白湯のおかわり(どうでもいい情報)
こういうファンタジーなお話は文楽に向いているなあ、とつくづく思います。
歌舞伎での上演を歌舞伎データベースで検索しても、
歌右衛門さんが1955年、1964年に、魁春さんが2003年、
この3回しか出てこないですね。
ひらひら舞い落ちる柳の葉がなんとも切ない名場面!
ひらひら舞い落ちる柳の葉が箕助さんの髪に刺さる(どうでもいい情報)
しかし、その後に奇跡が。
襲名披露で無情、悲劇を勤める玉男さんでしたが、
その前後になんともおめでたい演目で、
これから文楽もますます発展だ、
こちらも頑張って応援するぞ~
な感じに。




