2009年8月15日(土)「しんぶん赤旗」
いま注目 共産党の財源論 二つの「聖域」にメス 12兆円
「財源論で火花」「財源巡り激論」――新聞各紙にこんな見出しが躍っているように、各党が社会保障対策や子育て支援策を打ち出すなか、それを支える財源論が総選挙の大争点となっています。
「景気回復後に消費税の引き上げをお願いしたい」(12日)。麻生太郎首相が2011年からの税率アップを露骨にいえば、民主党の鳩山由紀夫代表は「消費税をいつまでたっても上げないで済む日本ではない」(12日)と将来の引き上げを明言しています。
そうしたなか、消費税増税に頼らない日本共産党の財源論が注目をあびています。共産党は、軍事費と大企業・大資産家という「二つの聖域」にメスを入れることを柱に、12兆円の財源を生み出すとしています。民放番組で、リポーターが「こういうことを言うのは共産党だけ。独自色ですね」と発言。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏も「社会保障費を2200億円削る代わりに、そっち(米軍への“思いやり予算”)を削れよと思う」(12日)とコメントしました。
自民党ばかりでなく、民主党も二つを不可侵の「聖域」にしているため、「子ども手当」の財源は、約600万世帯に負担増となる配偶者控除の廃止などの庶民増税に財源を求めるという、つじつまのあわないものになってしまうのです。
財源をめぐる議論は、「日米軍事同盟絶対」「大企業・大資産家中心」という政治のゆがみをただすかどうかという、国のあり方と一体の問題です。
自公も民も消費税頼み
浦野広明立正大学教授(税理士)の話 年金など社会保障のあり方に国民は強い関心をもっています。しかし、財源といえば、自民・公明両党は消費税増税を公約し、民主党も将来は消費税増税頼みです。
自民党政治は一貫して“大企業・大資産家には減税、庶民には増税”でした。能力に応じた税負担という民主的税制の原則を踏みにじってきたのです。民主党も、この路線の延長線上にいます。
日本共産党が主張しているように、軍事費と大企業・大資産家優遇税制という二つの聖域をただせば、消費税増税にたよらないで財源を確保することができます。
自公、民主の各党は、この聖域にメスが入れられないために、結局、消費税増税に頼らざるを得ません。
国民は、社会保障制度の改悪と増税に苦しめられてきました。増税なき社会保障充実こそ、多くの有権者が求めるものです。
応能負担の民主的税制を築く道を開くか開かないか―。総選挙はそこが問われています。日本共産党はその展望を示しています。