コーチMのブログ

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バスケのコーチングに関して大学院やその他で学んだこと、アメリカ留学での日常をつらつら書いていました。今は日本でコーチをしています。

こんにちは!

今回は「サッカーとは何か」という本を読んで戦術的ピリオダイゼーションを改めて学んでみての、自分のまとめノートという形で書いていきたいと思います。(この本では構造化トレーニングもこれと並ぶ大きなトピックとして書かれているのですが今回はそこには触れません)

 

 

 

 

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今まで読んだ戦術的ピリオダイゼーションの本の中で1番体系的に、深く、かつわかりやすく書かれていた超良書でした。著者の方(林 舞輝さん)が25歳というのが本当に恐ろしいです。。日本語でこれを読めるのがありがたいですね。

 

それでは本題の戦術的ピリオダイゼーションを僕なりにまとめます。(自分用のノートって感じで書くのでわかりにくいところも多いと思います。またかなり長いです。そんな時はぜひこの本を買って読んでみてください。超おすすめです。)

 

 

戦術的ピリオダイゼーションとは何か

「戦術的ピリオダイゼーションとは、サッカーにおける2つの最も重要な概念のコンビネーションである。戦術=チームの意思決定と、ピリオダイゼーション=ベストコンディションを引き出すための期分け法。この2つの融合だ」

 

そしてこの戦術=チームの意思決定が、ゲームモデル、またその具体的な実行原則であるプレー原則に基づいて、素早く、(プレーしている全員が)統一してなされるようにトレーニングする。従来のフィジカルコンディショニングにこのトレーニングが組み込まれたものが「戦術的ピリオダイゼーション」である。

 

 

プレーイングアイデア – コーチ(監督)の理想のサッカー(バスケならバスケ)

ゲームモデル – 一番の原則。プレーイングアイデアと実際にいる選手やチームの環境を照らし合わせて作る。選手がいかなる瞬間でも同じようにその状況を解決するための模型のこと

プレー原則 – 選手がプレーモデルを理解し表現するために、よりクリアでわかりやすいコンセプトとして噛み砕いたもの

 

オフェンス

ネガティブトランジション(攻→守)

ディフェンス

ポジティブトランジション(守→攻)

 

の4局面にまず分け、そこから主原則、準原則、準々原則とさらに枝分かれしていく。

 

こういったヒエラルキー化(階層化)された原則をトレーニングで鍛えることは、選手間に「意図的な相互作用」を起こすために必要不可欠である。(フラーデ) 試合での各局面のプレー原則を「タスク化」したトレーニングによってプレー原則を選手に浸透させる。

 

プレー原則=選手の創造性と自由を奪うものではないか?これは誤りであり、偏見である。逆にプレー原則は選手に自由と創造性を与え、その補助となる。(料理コンテスト、「なんでもいいから最高の料理を作れ」vs「材料費3000円、料理時間45分以内」自由すぎることによる当惑)

 

 

戦術的ピリオダイゼーションではサッカーを「断続的な判断と意思決定が求められるスポーツ」だと捉えている。(これはおそらくバスケも同じ)

その判断と意思決定を支えるのが戦術であり、それを向上させるのがサッカーのトレーニングの本質であると考えた。またサッカーでは限りなく速い判断を求められることから、無意識まで落とし込むことこそサッカーのトレーニングの本質と考えた。

 

選手が試合で経験したことのない状況を判断するのには時間がかかる。それを極力なくして経験済みの状況を増やすことで、選手の判断を無意識化、素早く効率的な状況解決に導く。

 

戦術的な良い選手とは?

チームのゲームモデルに適応し、そのゲームモデルに基づいたプレー原則を理解した上で、それに沿ったプレーを適切に選択、判断できる選手

 

戦術的な良いチームとは?

明確なゲームモデルが全選手に浸透し脳内に同じ地図を持ち、全ての選手がそのゲームモデルによるプレーが適切に行えるチーム

 

「戦術的ピリオダイゼーションとはゲームモデルとプレー原則によりチームでの無意識での意思統一をする訓練、わかりやすく言えば「シンクロ」させるトレーニング方法であり、それを従来のフィジカルトレーニングとピリオダイゼーションを組み合わせたものである」

 

 

トレーニング構築のための7つの法則

1.    特化の法則 – サッカーに「特化」したトレーニングをすべきということ。自分たちのゲームモデル、プレー原則に特化したトレーニングをすべきということ

2.    傾向の法則 – 改善したいプレーやより起きる可能性のあるプレーを、それ相応の頻度と密度で起こる練習にすること(自分たちの「試合で」よく起きる状況やスキルをしっかり分析し、その傾向をその割合でつぶさに練習に反映させるということ)

3.    複雑系の進行とバリエーションの法則 – 同じプレー原則を、メニューを変えながら取り組むこと(サッカーにおいて選手のプレー習得は線形のプロセスではなく複雑系のシステムである。Simple to Complex – 単純なものから複雑に、よりゲームライクに)

4.    4局面の法則 – オフェンス、ネガティブトランジション(攻→守)、ディフェンス、ポジティブトランジション(守→攻)の4局面それぞれに取り組むこと

5.    カオス&フラクタルの法則 

カオスは数学の「カオス理論」(理論的には力学系により、ある初期値が定まれば自ずとその後の全ての状態の変化が決定され予測できるはず。しかし現実の力学の世界では様々な要素が複雑に絡み合っているため、ほんの少しの条件の違いによって最後の結果が大きく変わってしまうため、正しく予測することほぼ不可能である)このようにサッカーも例え同じプレイヤーが同じように試合したとしても、二度同じ試合になることはないということ。

 

フラクタルとは、幾何学の概念である図形の部分が全体の自己相似形になっていること。サッカーで言えば1:1は3:3の構成要素であり、3:3は5:5の構成要素である。同じように5:5は8:8, 8:8は11:11の構成要素であり、それぞれが「サッカ―」であるということ。

 

カオスもフラクタルも数学的に見れば「複雑系」という分野に密接に関連するが、フラーデはこの複雑系こそサッカーの本質だと考えている。(サッカーは多くの要素からなり、全体が部分に影響し、部分が全体に影響し、それが複雑に絡まりあう)だからこそ全ての要素は切り離して考えることはできない。

 

その中でプレーする選手はトレーニングも「カオス」であり「フラクタル」である中でこそ鍛えられる。

6.    組織単位分けの法則 – 全体として機能するための課題を明確にするために、組織を組分けする。(個人、グループ、ポジションごと、全体など)

7.    戦術的疲労 – 頭の疲労、メンタルの疲労(認知→判断→実行の繰り返し、ストレス、プレッシャーなど)

 

 

これらの法則に基づいて、最適なピリオダイゼーションを目指す。

Periodization – 期分け

 

従来型ピリオダイゼーションから、チームのプレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素を組み込んだ戦術的ピリオダイゼーションへ

 

フラーデ「戦術的ピリオダイゼーションのロジックとは「ゲームモデルとプレー原則」と「トレーニングの法則」にも基づいてモルフォサイクルを作ることだ」(モルフォサイクル:例えばここでは週末にゲーム、平日に練習を基準の1週間のサイクル)このサイクルの繰り返しによって、ゲームモデルとプレー原則の習得、パフォーマンスレベルの維持を目指す。

 

戦術的ピリオダイゼーションにおける「負荷」や「量」は、従来の「トレーニングの量(Volume)」、「負荷(Load)」、「密度(Intensity)」も異なっている。

 

戦術的ピリオダイゼーションにおいては、「習得すべきプレー原則の量」や「集中しなければならない時間の量」「インテンシティー(密度)の高い練習の量」のことを指し、それらの多いものを「負荷の高い練習」と呼ぶ。これにフィジカル面での筋肉の負荷の掛け方(3種類 – ストレングス=ブレーキ、Eccentric、持久力、パワー=スピード、Concentric )や戦術的疲労を考慮してモルフォサイクルを組んでいく。

 

具体的なサイクルは本を買って見てください。

 

 

以上です!この本の面白かったのはあとがきです。

 

この理論を書いておきながら、同時にこの理論を絶対的な正しいものとは思って欲しくないと。正しいか正しくないか、何を使うかはあなたが決める。

また、この本の後半で触れた「構造化トレーニング」(この部分も面白かったのでオススメです)の代表例として出てきたバルセロナも、本文では「サッカー選手はサッカーで鍛えられるべきでウェイトなど怪我の元凶で無駄」とセイルーロ氏が述べていると書いているが、現在はかなり負荷の高いジムトレーニングを行なっていることや、セイルーロ氏本人もジムトレーニングを異論を唱えなくなっている

 

ことを紹介していて、この著者の林さんのバランス感覚の良さが本当に好きです。

 

長くなりましたが、ありがとうございました!

あくまでメモで自分ののこしたいところだけ書いているので、買って読むことをオススメします!