それは、ほんの数秒の出来事でした。


手にはリコーダー、
全身黒、ぽっちゃり体型、
推定20代後半


そんな彼女とすれ違ったんです。


なんとなく私は彼女をみました。

すると彼女と目が合いました。


(まずい。ロックオンされた…)


彼女がズンズン私に向かって歩いてきます。
私は彼女から目が離せません。
逃げる事も出来ません。


目の前にやって来た彼女は、私を上目遣いで見上げながら…


「芦田愛菜だよ!」


…え!?

私がビックリしていると、
間髪も入れずに


「嘘だよ!」


…えぇ!?


彼女はそのまま立ち去って行きました。


このまま別れるなんて出来ない。

私は立ち去る彼女の背中に向かって

「ソックリだね!」と声をかけました。



『ピ~~~』


彼女は振り向きもせず、縦笛を吹きながら歩いて行ってしまいました。


ほんとにソックリでしたよ。


やしろ優に。