以前、『サラリーマン』の投稿で、

3年前、人間ドックに合わせて「MCI」という検査を受けたことを書きました。

結果として「異状なし」という、何よりな内容でした。

 

ただ、検査結果はその通りだと思うのですが、

体感として、以前と違って、聞いた話を拾えなくなっていると感じていました。

私は、所謂文系総合職で、専門の研究分野がある訳ではありません。

残念ながら、司法試験や会計士といったスキルも持っていません。

仕事は、上司、部下、同期、他部門、取引先、新聞、テレビ、ネット、書籍…

という、社内外の幅広い情報を繋いで会社に利益のある道を探す作業になります。

 

視野を広くして、頭のどこかに周辺事項も含めて情報をしまっておいて、

常にアップデートし、新たな情報と交錯させて、

何ができるか、現時点のベストの選択を取り出す必要があります。

「これって、この前のあれと上手くやれるんじゃない?」というコメントで、

「これ」と「あれ」を正しくイメージし、

何なら「それ」も付加できることが役割です。

 

この作業が全く要領を得なくなってしまいました。

膨大な情報を、頭の中で「出し入れ」「組み合わせる」ことができなくなり、

上司のコメントにぽかんとしてしまう。

特に、情報の「周辺事項部分」の記憶が頼りにならなくなったので、

ノートに記録して、定着を図るようにしているのですが、

「新たな情報を得た」と思ってノートを開いたら、既に書いてあったり、

会話のなかで、こちらの反応の悪さに、

「ほら、あれだって!」という顔をされることが多くなりました。

 

なかなか会社には相談しにくいところで、

自宅への帰り道、検査をメインにしている新設の病院で

「物忘れ外来」という看板を見ました。

現在の「物忘れ」が、どのような形になるかは分かりませんが、

母も祖母も認知症になったなか、できることは早めにやってみよう。

と、所用で休暇を取った際に行ってみることにしました。

 

病院は新しく綺麗で、待合はホテルのロビーのような雰囲気でした。

受付で「物忘れ外来」をお願いしたところ、

少し怪訝な反応をされましたが、指定の用紙へ症状を書くよう言われました。

 

その後、診察です。

ここ3年前ぐらいから記憶の整理が悪いこと、MCIの結果は正常なこと、

昨今、さらに記憶の幅が狭くなっていること、をお伝えしました。

先生は、年齢と不相応な若年の認知症を大変心配しており、

親身に話を聞いてくれました。

 

その後、認知症のテストです。

テストは、箱に入った雑多なもの、

電卓、積み木、ボールペン、ハンカチ等を見せられた後、

算数の簡単な暗算を数問、口頭で回答する。

その後「先ほど箱に入っていたものは何でしたか?」というものでした。

全部ではないですが、大半のものは憶えていました。

 

最後にMRIを撮りました。

頭を固定して、脳の輪切りを撮影してもらいます。

初めての経験でした。

電子音のような大きな音がしましたが、横になってじっとしているばかりです。

 

全部終わって結果の評価です。

記憶力に関して特段の問題はない。とのことでした。

暗算について混乱することもないし、その後の箱の中身の確認も概ね答えられていました。

MRIについても、現時点で脳に特に異常は見られなかったとのこと。

昔、コンタクトスポーツをやっていたので、一部血管が切れていたりしないかしら?と思いましたが、

まあ、一般的に綺麗なものだったそうです。

(ヘビースモーカーだと白い斑点が出たりするらしいです(その良し悪しや影響は分かりません))

「取り合えず、今、何か対応する必要はないので、

 よく寝て、運動して、酒はほどほど、健康的な生活を送ってください」とのことでした。

 

何はともあれ良かったです。

単純な人間なので、お医者さんから診断をもらえると元気になります。

暗算と箱の中身のテストを受けて、私が記憶が薄いのは、認知症以前に集中力かもしれないと思いました。

おそらく「テスト」と言われなければ、中身を答えられなかった気がします。

若い頃は余力で出来ていたことも、

この年では、一定の意思をもって向かわないと憶えられないということかもしれません。

易きに流れてはいけませんね。

もっと自分の可能性に前向きになる意志、

そんな難しい話以前に、世の中に興味・関心を持ちたいと思います。

良い気付きを頂きました。親切にして頂いた、先生・看護師さんに感謝です。