PET検査を受けて次の診察です。

検査結果をお話頂けるということで、

朝から緊張してました。

やるだけやったけど結果は分からないという意味では、

何となく受験の合否を待っている感覚です。 


「行ってきます」と言って出掛けます。

妻も漠然とした不安で浮かない表情です。

診察は朝一にして頂いています。

受付前の待ち合いに座っていても落ち着きません。

周りは、私の両親世代のおじいさんとおばあさんばかりです。


まだ52歳になったばかりだし、

子供とも就活・受験の話をして、普通に仕事もしてるし、

若手、同期、同級生、みんなと楽しくお酒を飲んでるし、

自転車通勤して筋トレもしてるし、

新聞も読んで、ドラマも次回を楽しみにしてるし…


そう、きっと大丈夫。

この前の記憶検査は初めてで、

急だったから要領が分からなかっただけで、

あれはポイント毎に憶えれば良かったんだ。

もう一回やればもっと上手く出来るし…

など自分を納得させてました。


大丈夫を反復しながら、時間通り1番に入室案内です。

椅子に座ったところ、開口1番、「陽性です」とのコメント。

「えっ?」

頭が真っ白とはよく言ったものです。

時間も場所も何をしてるのかも飛んでしまった感じです。

「えっと、陽性っていうのはどっちでしたっけ?」

いくら何でも馬鹿なことを聞いたものです。


「アミロイドβが確認されました。若年性アルツハイマー症です」

まだ固まっている私に、

「まだお若いので、色々対策はとれますし、

 一度、ご家族の方とお話させて頂きたいです。

 色々ありますので診断書をお出ししますね。障害者手帳も出ます」

いつもキレキレな先生も何だか話しにくそうです。

何も言葉が出ない私に合わせて、静かに待っていてくれます。

でも、「色々ありますので」ってこの先何があるの?


「あの、こんな年でそんなことあるんですかね?」

手探りのような質問です。


先生は

「私が受け持ったなかでは3名いらっしゃいました。

 たまたまだと思いますが、これまでは全員女性です。

 1番若い方は48歳でした」 

と仰りました。

私は多分、寂しくて自分と同じ境遇の方を探したかったようです。

一人は嫌で、ホッとしたかったのでしょう。


しかし、何と言うか、この一大事に何か有意な言葉を頂けないかと。

このまま家に帰っても、明日から何をすれば良いのかと…

腕立て伏せ?腹筋?背筋?スクワット?朝晩2キロ走?

これまで頑張れば成果は出たはずなのに、今回は不安で仕方ありません。


「お薬を出します。この先のことは各々なので何とも言えません。

 状況に応じて対応していきます。

 日々の生活に直結しますので、

 家族の皆さまでご対応して頂くことが必要になります」


家族の皆さま…

妻に、大学生と高校生の2人の子供。

彼女、彼らに何をご対応して頂くの?

子供たちは、就職、大学受験の真っ盛り、お父さんボケちゃってどうするの?

結婚式とか、私は正気で出られるの?


先生の口から甘い言葉は出てきません。

体調自体は昨日と何ら変わりないのに、

深い穴に落ちていく感じで、暗いことばかりが渦を巻いています。


とにかくこれ以上話す事も無くなり

いつまでも診察室に居られませんのでお礼を言って出ました。

これからどうなるのだろう…