しかも彼女は絶世の美人だった!
札幌の地下街をブラブラと歩いていた仕事帰り。青い目をしたハーフのような美人が声をかけてきた。美しかった。
小走りで近づいて来たハイヒールの色白の人はとても理知的で、しかも学生さんにも見える若さだ。私はうれしいサプライズに鼻の下がビローンと伸びた。
「こんにちは。多聞さんですね。お待ちしていました。」
「え?なに?知ってるの?僕のこと。なになに?」
「ちょっとだけアンケートに応えてもらえないかしら?」
「おいおい、なんだぁ。キャッチセールスかい!」
彼女は手を前で振り、今度はテレパシーで僕に話しかけてきたではないか!はっきりと鮮明な力を感じた。
「多聞さん。私は死神なの。貴方は今夜死ぬのよ。その理由は言ってはいけないことなの。」
「まさかぁ。う?でも、テレパシーだ。。。ほんとか?やだ。」
「いいから聞いて。アンケートに応えてくれたら、その寿命が延びる可能性だってあるのよ。」
「するする!絶対する!アンケートだいすき!」
瞬間移動だった。僕が心で了解した瞬間。僕たち二人はローソクが無数に立ち並ぶ洞窟の中にいた。背中に冷たい水滴も落ちてくるではないか。
「わぁ。どこだ!ここわぁ!」
「いいから、聞いて。アンケートよ。大切なことなの。」
「分かった。死にたくない。やってちょうだい。」
そして彼女は分厚い辞書みたいな書籍を重そうにもって質問を開始した。
「貴方はもうすぐ死にます。必ず死にます。。。」
「おいおい、泣けてきた。。。いいから質問してよ。」
「じゃ、いくわよ。死ぬ貴方。いま、後悔しているとしたらなに?ここに書いてね。」
その辞書みたいなのに、僕は震える手で箇条書きに書いた。必死だ。
・お世話になった人や逢いたい人にさよならも言えない。
・もっとたくさん社会のために何かしたかった。
・ヨットを買って海の素晴らしさを人に教えたかった。
・あの山菜が採れる場所を誰かに伝授したかった。
・美しく優しい恋人がほしかった。
「ちょっとまって!そこまででいいわ。」
「なんで?もっとたくさんあるのに。いいの?しぬの?やだ!ずっとかいてる~!」
「よしよし。いいの。これで。貴方は死なないわ。」
彼女は満面の笑顔で応えてくれた。何で死ななくなったかはわからないけれど、僕は涙が急に流れ出していた。
「バカね。死ぬわけないじゃない。貴方が今書いたこと。全部が愛じゃないの。」
「え?」
「その愛をいつも信じて、死ぬときじゃなくって、いつも行っていればいいのよ。」
「ええええ?そう?そうだね。」
彼女は急に宙に浮かんだと思うと、僕の手を引いて宇宙へ誘ってくれた。美しい世界へ。
「ごめんなさい。私は貴方たちが言うところによれば神様なのよ。試してごめんね。安心したわ。」
神様のイジワルゥ~。
そう叫んで、僕は目が覚めた。
みなさん、後悔するのなら愛をいつも行っていましょうね♪ってお創作でした。
自由詩人 松尾多聞