「 恋 文 」
砂に書いた貴方の名前
波は刹那に消し去って
風は時を留めたままに
空間だけを連れてゆく
だから心が動かないよ
夕陽はもう落ちるのに
君に例え摘んだ野花は
今もここに咲いている
泣きながら笑いながら
も一度君にあいたいよ
自由詩人松尾多聞
「その星の神様」
その星はひとつしかないのに
かみさまがたくさん住んでいる
かみさまは土地がすきで
ひとびとにとりあいをさせている
かみさまはひとごろしがすきで
ひとをころす道具をつくらせている
その星はひとつしかないのに
かみさまがたくさんいる
かみさまはひとりじめがすきで
たべるものをたくさんすてさせる
かみさまはおもいやりがなくって
とおくのたべものがないひとが死ぬ
その星のかみさまたちはお金がすきで
みんな病気になってもきにしていない
その星のかみさまはそんなふう
信じているひとたちを動かしている
自由詩人 松尾多聞