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祗園精舎の鐘の声

諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必滅の理(ことわり)をあらはす
おごれる人も久しからず
ただ春の夜の夢のごとし


有名な「平家物語」の冒頭です。釈迦が存命中、中インドの有力者が思想に感銘して寄進したのが、祇園の地に建立した精舎で、ここには釈迦の教えを乞う弟子達が集合して人間究明の哲学を学びました。

いうなれば、世界最古の大学でもありました。

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「沙羅(sara)とはインド原産のナツツバキのことで、淡く黄色い美しい花をたたえるのですが、熱い日差しに、すぐに色あせてしまい、美を提供する時間が極めて短い花です。釈迦が亡くなったとき(入滅のとき)に、この木が四方を囲んで植えられていたといいます。


そして後年、琵琶法師(法衣をまとった盲目の音楽家)は、各地を行脚しながら盛隆を誇った平家が崩壊していく姿を人の世のことわりとして語りついでいったのです。


「平家にあらずば人にあらず。」そう断言していた、その武家社会が儚く崩壊する無常を。

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その語りは、押律や韻律にこだわりリズムを保ち、そして語ることにより多くの人々の感銘と共感を得た大衆文化へと開花していきました。平安の吟遊詩人です。


鎌倉以前から日本の文化を築いてきた中心は寺でした。

蔵本も講義も行なわれていました。釈迦の祇園精舎のように時代文化の中心でもありました。生きること、行動することの意味を解明しようとする天才が集合する学び舎だったのです。

そこで学んだ天才は後年、素晴らしい論文を残しました。それは空海の論語であり、日蓮の戯曲(問答形式)など、流れと作りがリズムに溢れ、人々に尊敬を集めていきます。僕もふたりの文献を読むにつけ、美しい作りと音の素晴らしさにため息がこぼれてしまいます。


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そして、「詩」は「言」と「寺」出来た文字、中国での顔文字の変形であるといわれていますが、僕は意味深いことであると感じます。

現在の寺は葬式家に代わってしまいましたが、国家の最高学府(当時の寺)と伝える「言」が融合したリズムでもあるのです。江戸時代以降に世界で初めて庶民が自由に学べる学舎を「寺小屋」とよんだのも寺は学びの場所であるとの認識です。


その「学び」は明治以降に「師範学校制」として花開き、世界最高の教育国家が完成していきます。給料を払いながら学生を育てたのです。この「寺」を起源とする日本の教育制度は近年に世界最高水準の技術国家を達成させる原動になったのです。

私達は人生を標榜するのであるならば、文化はどのように伝い語られてきたのか、また、私達が使用する押律や韻律がどんなに素晴らしい歴史に彩られたものなのかを知ろうとする時間も持ってみてはいかがでしょうか?

心の寺には知恵が生まれ、それはやがて「言」として広がり、「詩」となり歴史に刻まれていく。奥は深く重いのですから。


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「藍く藍く染まれ」


吹きぬける長き風の道
君との出逢いのように
白く白く澄み渡る地平線

たじろいでいた僕の影

この空は知っていたんだね
遠いあの場所で僕らは繋がる
平野を乗り越ヘ足跡を残し
大地の果てにまた交わる夢を


雪に煙る森林を抜ける道
愛を知ったときのように
広く広く大きな世界

夢を追った藍き青年よ

あの人は天高く遠くとも
見えない空間が阻んでも
平野に残る足跡を知り
遠くあの地に待っている


しばれる果てしなき道
生きていくことのように
美しく輝きを増す大地

夢に敗れた旅人たちよ

この世界はいつまでもある
届くことなき遙空の下にも
青く広がる世界は見えるよ
心は遠く結ばれる時がくる

白く白く澄み渡る世界よ
あの藍を映しあの藍に染まれ
いつか僕らを包んでおくれ
遠く地平に歩みゆく人達を








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冬の木立を抜けて



 

静かなときの中にだけ


見つけることができる


遥か未来のわたしの姿


明日を待っている人は


顔を上げ歩けはしない


遠くを見つめていよう


あの森の木立を駈けて


時間を切り裂いてゆく


いつか恋人と夢をみた


熱き空間を取りかえす


あの少年が望んでいた


そのままであるように

いつか再びたどりつく


人の心に愛をつたえる

   


 

   自由詩人・松尾多聞

 




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