自由詩人!松尾多聞のブログ

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ドンドンドンッ!




「オーイ、とっつぁんいるかぁ~!」


「なんだい、こんな夜おそくに、急に多聞ちゃんたら、こったに吹雪いてしばれるのに、来たんか、いまあけるよ」


「とっ、とっつぁんは?」

「うん。。。いま、起きてくるよ。まってな」

「いや、すまんな花おばちゃん。」

「なんも、うれしんだ。よくきてくれた。」


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「おお!多聞のぼうず!きたかや、すわれや。」


「なんだべ、もう死んでると思ったら。。。」


「あはは、それはなんぼなんでも、ひどいあいさつだな、おい花!焼酎もってこい!」

「あんた。。。飲むのかい。。。」

「あたりまえだべぁ!多聞のぼうず来たんだ。酒もないんだらあずましくないべ」

「まってて。。。今。。。なんもないけど、、、」

「なんも!おばちゃん気ばつかうなって」


「くわぁ~うまいもなぁ。久しぶりだもなぁ。刑務所みたいなとこいたから」

「おいおい、そんな骨と皮のミイラみたいな手で・・・30度の焼酎ば生でかい。とっつぁん。うまいか?」

「ああ、お前もやれであ、こんな旨いもん、しばらく止められてたけど、もういんだ。」

「あ~あ、あんただら、結局そうだもね。いっつも飲まないといられなかったっしょ。」

「あはは、そうか、そうか、したら俺ものむべか」


「おお!やれであ、お前と飲むと、なんもかもないもな。」

「うん。とっつぁんは、俺らが小さいときから吹雪の中ば、馬橇で送ってくれたもな、したけど、いっつも馬橇乗りながら焼酎まっくらっとったなぁ。」

「ああ、懐かしいもんだな。あん時はまだまだ稼いだもんだ。」

「したけど、俺の家でいっつも飲みつぶれて、オヤジらがとっつぁんば馬橇に横にしたら、馬って不思議だな、ちゃんとつぶれたとっつぁんば、家まで連れて帰るもなぁ」

「そだなぁ。伝助は家族だった、この花より俺の面倒ばみてた。」

「あんたみたいなノンべ、馬しか面倒みなかったしょや、どもなんなかったわ、この人は。酔ったら ごんぼばっかしほって。」

「あははは、したけど、ちゃんと子供4人、立派になったべさ、幸せだって。」

「ああ、子供な。。。」

「あっちも、この人も、腰曲がるまではたらいたも。」

「うん。あんときは、何くってたんだべか、思い出せないもな、貧乏だったな、みんな。」

「ああ、もうあんな苦労はたくさんだ。したけど、一番いかったな。」

「いかったか、とっつぁん」

「ああ、いかった。いかった。」

「いかったしょ、あんた。いかったって。」

「俺、今日はとまってく。いいべ。」

「ああ、何ぼでもいれ、おまえんちだとおもってな。」

「あぁあ、二人とも飲みすぎてるっしょ、ゆっくりやんないば。。。」

「花、いんだ、いかったから、いんだ。」

「そうか、いかったか、とっつぁん。。。」


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一週間後、花のおばちゃんから連絡がきた。

とっつぁんは何よりも幸福そうだった。

長い苦しい入院から開放されて、大好きな

子供達に囲まれて、85歳の人生を閉じた。


あれは、10年前の冬の出来事だった。

子供達と僕を本当に愛してくれた飲んだくれ。

最後に酒を飲んだ晩のことだ。

とっつぁんは、またどこかで焼酎まくらって

馬引いてるべな。棺おけには

だいぶん先に逝った伝助の鈴が

入れられていた。

大正生まれ。22で北海道へ金沢から入植したとっつぁん。

貴方は本当の、そして最後の北海道の開拓者だった。


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 「凍 笛(とうてき) が 鳴 る 道」




雲は流れて空高く凍笛が聞え来る


低く遠い音色が木々をも眠らせた
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背中を丸め暖炉に蒔をくべいれる



あの冬に父が踏んで創った雪の道


高く冷たい雪壁を辿りもがいてた


背中だけを信じながら母と続いた




凍笛が襲いかかる寒さを呼び込み


大地に響いて家族を一つに導いた


くべる炎に映し出す命をかけた道


父が拓いた細く長く吹雪に霞む道


いま私の目前にもつづいて見える



私も踏みしめ私の道を拓いてゆく






Touteki ga Narumichi / Tamon



【 凍 笛 】
 シベリア寒気団が南下して北海道に厳寒を運ぶとき、上空高く無数の霧笛が鳴り響くような音が続き、暴風を伴って大地は吹雪に染まります。その不気味で恐ろしい音に私が「凍笛」(とうてき)と命名しました。

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