これはすごい物語です。いるんです。こんなのが。本当に。
朝のホテルラウンジ。モーツァルトが流れる静かな空間に一人の大男が現れた。
身長は2メートルで髭を生やし、体格はレスラーのごとく、赤ら顔で大変な威圧感だ。
彼はせわしなくチェーンスモークを始めた。
周りの淑女は顔をゆがめ、あるいは咳き込み、またあるいは自分の場所を捨てて逃げ出すしまつだ。
離れたところでは、つつましくタバコを吸っている人もいたが、この男は目ざとくそれを見つけて、タバコをくわえたまま大声で怒り出した。
「貴様!タバコを吸うな!ばかやろう!」
なんたるわがままだろうか。しかし、それだけではなかった。外のベンチで禁煙をしている人が我慢ならずにタバコを持っただけで、飛び出してはしかりつけている。
僕は我慢できずに
「貴方のやっていることはおかしいね。自分はヘビーにタバコを無意味にふかして、人々に迷惑をあたえて、その罵声でこの場所は恐怖にかわった。あなたはわがままで正気を逸している。」
と注意したが、水をかけられ、襟首をつかまれてつるし上げられた。
「おお!俺様に意見できる男がいるなんて信じられん。」
そういって高笑いを響かせたのだ。
実はこの男。有名な宣教師で「汝の敵を愛せよ」と人々に教えて回っているそうだ。
【解説】
ここで登場するタバコとは「核兵器」のことで。この男の名前は「アメリカ」といいます。
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季節の果てに
冷たい雨が遠い空から
ふいに肩をかすめ去る
首を縮めて僕は走った
あとわずかの時だけが
覚醒の季節を提示した
真白い紙を広げていた
秋の色にも誰の色にも
決して染まらない空白
輝きに舞う創造の純粋
戸惑う僕が恥ずかしい
この季節の雨の果てに
この短い人生の果てに
この空白の時の果てに
ほんの短い今上の生で
僕は何を綴るのだろう
遠い想い出が交錯して
切ない夢がふくらんで
つづるには遥かな量で
ふっと人であると泣いた
人であったと愕然とした
僕の言葉が白抜きになり
人々の心に色彩になれと
願いつづけることにした
ほんの短い季節の冷雨に
僕は背筋に震えを憶えた
松尾多聞

