第8回_竹田和平_食品業界の情報開示から学ぶこと | 【松下幸之助、創業者、名経営者、政治家に学ぶ】          

第8回_竹田和平_食品業界の情報開示から学ぶこと

昨今、食品業界において安心・安全に係わる情報開示、トレーサビリティについて毎日のように新聞、テレビ等で話題になるが、弊社のサービスIR-1の個人投資家のモニターもトレーサビリティについての関心が強いようです。食品業界にとって大事なことは誤魔化さない、そして情報をきちっと投資家や消費者に伝えることではないかと思います。



先日、日本一の個人投資家と言われ、上場企業100社以上の大株主である竹田和平氏にお会いしました。竹田氏は元々「たまごボーロ」等で有名な竹田製菓株式会社という菓子製造業を設立し、いち早くオートメーション化して大量生産に踏み切る等、経営者として成功した方でありますが、この方から勉強させていただいたことは経営をするうえで一番大切なのは信用だと言うことです。



例えばボーロに入れる原料の卵を本来は有精卵を使うが、コスト面を考慮すると無精卵を使いたくなるのが人情であり、有精卵と無精卵の違いはボーロを焼いて食べ比べるとほとんど分からない。しかし目玉焼きにして食べ比べるとはっきり味が違うそうです。大多数の消費者はボーロを食べて有精卵か無精卵か分からないかもしれないが、中には分かる人がいるかもしれないので、どんなに苦しくても無精卵を使うことをしなかったという。目先の損得だけで信用を損ねることだけはしたくなかったといいます。



私は竹田氏が菓子製造業の経営者として成功した大きな理由の一つに誤魔化さずにいい物を消費者に提供し続けたことではないかと思います。



当たり前のことかもしれませんが、食品業界においてこのことを遇直に実行し続けている会社がどれだけあるのかはなはだ疑問です。



私は今食品業界で求められているのは誤魔化さないことではないかと思います。竹田和平氏を見習って目先の損得に囚われず、長い目で見て消費者から信頼を得ることを考える方が得策と思います。



また、先日 ある食品会社(上場企業)のIR担当者に個人投資家もトレーサビリティに関心があるのでIRサイトでもっとトレーサビリティの情報開示をしてはどうかと提案したところ、直ぐに経営会議で検討してみますという返事が返ってきました。この会社は厳格な基準を設けて食品を製造しているのだが、IRサイト等で中途半端にトレーサビリティ情報を掲載するとかえって消費者が混乱するのではないかと思いあえて開示をしていなかったようです。



しかし何も開示をしなければ投資家や消費者には分からないので何もしていないと思わ

れるリスクがあるのではないかと思います。このことはどの業界、会社にも言えることで、せっかくいいことをしているのに投資家や消費者に伝えていないがために何もしていないと思われていることは多いのではないでしょうか? 非常にもったいないことだと思います。



文責 田宮 卓