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今年の6月に知人の早川正司氏が『房州誕生寺石造三層塔と九州千葉氏』を出版されました。

副題が「伝日蓮聖人供養塔とその周辺」となっていて、誕生寺に古くから伝わる三層の石塔の調査とこの塔の由来について、推論を加えて詳述しています。(青娥書房刊 1500円)

写真を見ても分かるように、一般に見られる石塔とは違った精緻な細工が施された立派な様式を有しています。

九州様式という関東では見られないもので、祖師日蓮聖人の70あるいは100遠忌に際して、元寇を期に一族が九州へ移動した千葉氏(下総千葉氏に対して九州千葉氏)が、誕生寺に献納したのではないかと考察しています。

専門的な本ですが、石塔だけでなく関係する歴史、建築など背景を広く深く探り、この石塔だけしか物証がない中で、分かりやすい文章で書かれた見事な論述に、あたかも推理小説を読むような気分になりました。

頂戴したこの本に感動して、早く実物にお目にかかりたいと思っていましたが、半年経った12/27にようやく実現しました。

石造三層塔のある一画の中景  祖師堂の左手にありトタンの覆い屋を設けてあります

早川氏の調査結果から貴重なものと分かったので、本格的な覆い屋を作る前の仮設ですが、撮影に大変苦労しました。

石造三層塔の正面および左右斜め前から 三景

同 背面および右斜め前から 二景

調査前には苔に覆われて風情があったかもしれませんが、拓本を取るためにそれらは剥がされて、今は長い歳月による損傷がむきだしになって痛々しくさえ感じらます。

元禄末年のものが有名ですが、いくつかの大地震・津波により倒壊、海への流出が起こり、やがてこの塔の由来が分からなくなってしまったようです。