誰にでも絶対的な存在のミュージシャンのひとつやふたつはあると思うけど、自分にもちろんあります。
しかしその数はひとつふたつには収まり切らず、10以内に抑えることも難しい。

数えていけばいくつになるかわからないけれど、 The Pop Group はそのひとつに入ることは間違いありません。

それほどの存在。
それほどのインパクトが、彼らの1st、2ndアルバムにはありました。
当時のロックだけでなく、その影響がなんらかの形で今のミュージシャンに残っているに違いない。

だからこそ、これだけの年月が経って、彼らが再結成し、アルバムまでもリリースするということは、一体どういうことなのだろう。
そのニュースが出た時、複雑な思いで考えさせられました。

ただの復活ブームに乗っての再結成であれば、ノーサンキュー。
彼らの音楽には存在感があった。
必然性があった。
時代性と普遍性を兼ね備えていた。

今回の再結成に必然性はあるのか。
音楽としての普遍性はあるのか。

マーク・スチュワートは優れたミュージシャンではあるけれど、彼のソロの延長では必然性があるとは言えない。
以前の彼らの音楽は、若さによる噴出するエネルギー感と破壊力がひとつのキーだったけれど、それを求めるべきではないし、それが普遍性ではない。

とりあえず、ニューウェイブとか、ポストパンクとか、そのあたりの言葉は念頭からはずして、聴かなければならない。
アジテーションする音楽だとの先入観は取り除いておかなければならない。

たぶん、こういった姿勢が重要なのだ、このアルバムを評価するには。

で、改めて、 The Pop Group
3枚目のスタジオアルバム、 "Citizen Zombie"

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そういう訳で、自分としては以前のアルバム基準は当てはめず、唯一、その音楽に刺激とテンションはあるか、を評価基準に置いて聴き始めました。

緩く、くつろいだロックをやる彼らだけは見たくない、聴きたくないから。
年齢は加えても、音楽の質として緩んでほしくないし、彼らの音楽からなんらかの覚醒感は与えてほしい。

結論から行くと、基準は確実にクリアしてくれたアルバムです。
マーク・スチュワートのボーカルが健在であることはもちろん、ギターのエッジやサウンドのメリハリは、確実に以前の彼らを彷彿とさせます。
音がソリッドで、テンションがあって、ファンクのノリも忘れていない。

そしてプロデュースのおかげもあるかもしれないけれど、曲ごとのバリエーションというか、サウンドスケープの幅の広がりは予想以上のデキ。
ある種のカラフルさをこのアルバムにつけてくれています。

老成、ということでもなく、年齢にふさわしいロックに変化したということでもなく、ベースにポップグループDNAとでも言うべき音楽要素を忘れずに、理性的に進化させた音楽という印象。

流行りに乗ってのただの再結成ではないことを明確にメッセージしてくれています。

言葉よりも、音楽でそれを示してくれました。







と、ここまで書いてきて、かなり気に入っているにも関わらず、冷静な自分がいることを発見。
たぶん昔であれば大騒ぎしてたでしょう。

自分の年齢だけでなく、時代の熱気や、自分の音楽へののめり込み度、そして音楽としてのエネルギー感も当時とは比較できないことによるものなのかもしれません。

この音楽の本質に普遍性はあると思うけれど、時代性はあるのだろうか。
自分には判断できない。

今の20代付近のロックのめり込み連中は、この音楽をどう感じるのだろう。