今年は大物ミュージシャンが期待どおりの作品をリリースしてくれている年ではありません。

大物といっても、自分にとってはビッグネームやメジャーなビッグヒットをかます人たちのことを指すわけではなく、常に期待にたがわないクオリティの作品をリリースしてくれる、ややメジャーよりのミュージシャンのイメージ。

昨年はその基準にのったミュージシャンがこれでもかとリリースし、かなりがいい作品だったという当たり年でしたが、今年はその余波なのか、激減している印象。

まあそういう時もあるよな、なんて思っていたら、予想外のところからガツンと食らわしてくれるアルバムが登場してくる、というのもよくある現象。

今のヘビロテ、 The War On Drugs

フィラデルフィアで2005年に結成されたバンドのこれが3枚目なので割と寡作、でも最近では割とみんな寡作になっているからね。

"Lost In The Dream"

Lost in the Dream/Secretly Canadian

¥1,668
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このアルバムは、自分にとってロックの快楽的側面。

どこかドラッギーなエネルギー感とノリ。
スピード感とも違うし、グルーブ感ということばもはまりにくい、独特のノリ。

彼女との別れによる孤独感、喪失感がベースにあるようですが、不思議なことに全般的に陽性なトーンでおおわれています。

陽性といっても、幾多のメジャーミュージシャンが奏でる多幸感ではありません。
間違ってもロックが好きではない一般人が勘違して飛びつくことのない、陽性感。

インディであることの矜持(?)を忘れていません。

つかみのあるフレーズをどんどん繰り出すタイプのソングラインティングではないけれど、そのメロディラインは素晴らしいし、メロディを生かしてくれる味のあるボーカル。
ギター中心ではあるけれど、カート・ヴァイル的なサウンドではなく、意外にピアノを始めとしたキーボードが多用されています。

サウンドスケープのポイントは、全面を貫く、リヴァーブとリフレインでしょう。
基本的な音数は多くないけれど、音が響きます。
執拗なまでに、音を響かせながら繰り返されるフレーズ。
リフレインのために、長尺になっている曲もあります。
それらの曲を聴くうちに、脳がだんだんと痺れてきます。

音楽がもたらすドラッギー感。
ドラッギー感がもたらす、夢心地感。

Lost In The Dream とは、聴いている自分のことか。