大滝詠一が亡くなって早3か月以上。
彼にとって最後のオリジナルアルバム "Each Time" がリリースされてから、30年が経過したということで、30周年リマスターが発売されました。

EACH TIME 30th Anniversary Edition/ソニー・ミュージックレコーズ

¥2,700
Amazon.co.jp

2004年には、リリース20周年のリマスターが発売され、リマスターは2回目となるこのアルバム。1984年の初リリースから漏れなくお買い上げの自分としては、その3枚のアルバム聴き比べをせずにはいられません。

曲順が大きく変わったことは周知ですが、音質はどう変わってきたのか。
あれだけ音楽と音にこだわってきた大滝が最後のリマスターをどう仕上げたのか。

年表を見てみると、このアルバム、1984年3月にLPがリリースされ、その3か月後にCDがリリースされてます。
このタイムラグが何によるものか今ではわかりませんが、絶対にリリースを楽しみにしていたに違いない自分が、CD発売まで3か月も待っていたとは信じがたい。
でもうちにはA Long Vacation のLPはあっても、このアルバムのLP無いですからねえ。
たぶん待ってたのでしょう。

さて、その音質ですが、

 ①オリジナルリリース 1984年
 ②20th リマスター
 ③30th リマスター

で聴き比べていきます。 

やっかいなのは、いきなり1曲目からアルバムによって収録曲が違うことです。
①は「魔法の瞳」、②と③は「夏のペーパーバック」。
①から聴き始めるという行きがかり上、①の最初の曲である「魔法の瞳」と2曲目「夏のペーパーバック」を聴き比べの対象におくことにしました。

事前の予想では、音質的に ①<②≒③ に置きました。

②と③で10年経ってるとはいえ、技術的な進歩がそれほどあるとは思えません。
ただ、無目的に大滝がリマスターを改めて仕掛けるわけはないし、③のリマスターは大滝自身によるものです。
②と③の間にどんな差があるのか。

結論行きます。

①は全体的に音が引っ込んではいるけれど、音質的に特に不満はないもの。
録音の音圧は低めだけど、当時にしては、かなり音質の優れたCDだったのではないかと推測。

そしてこのCDのリリース日は、当時CBSソニーが高音質版LPとしてリリースしていた Master Sound と同じ日です。
Master Sound は選ばれたアルバムだけリリースされてました。
音はデジタルマスタリングを施され、レコード盤自体が通常より厚く重量があります。
松田聖子も必ずこれがリリースされ、自分は必ずこのシリーズで買ってました。バカですね~

他のミュージシャンの場合は、基本通常版のLPと同時にリリースされてたはずですが、大滝のこのアルバムの場合、CDと一緒に3か月遅れたのは、高音質版のために別のトリートメントを施していたのかもしれません。
だからリリースが3か月遅れたと勝手に推測。

そして②の20th リマスター。

明らかに音質が違います。
高い音圧、優れた分離、表現力が増し、高域が伸びる。
リマスターの効果バツグンです。

これでボーナストラック付き、値段は①が3500円、②が2100円。
なんという差でしょう。

そのため、この音質を③が凌駕するのはかなり難しいのではないかと思わせます。

そしてついに、③の30th リマスターです。

んんん?

自分が思い描いていた方向とまったく違う音ですね。
まったく分離や高域の伸びなどは、リマスター作業の対象外、と言わんばかりです。

むしろ②から①方向に逆行していると思えるような音。
一言でいえば、デジタルからアナログ方向へ、音の感触を変えるためのリマスター。

全体的に音が柔らかく、一体感を持って聴こえます。
だから、③を聴いて②を聴くと、高域がヒステリックに聴こえることも。

②が好きか、③が好きか、人によって異なると思うけど、大瀧詠一は②で行き過ぎた音質を③に戻したかったのでしょう。

③が大瀧詠一の求める Wall of Sound 。

たぶん、当時リリースされた Master Sound 版のLPでは、まさしくこんな音が鳴っていたんだろうなあ。

自分がどちらが好きかは、悩ましいところです。
きっと、聴くスピーカーやイヤホンによって、聴きたいバージョンが変わるでしょう。