音楽には忘れがたく結びつく記憶というものがあって、それはアルバムに染み付くように残っていきます。

その染み付いた記憶によっては無意識のうちに排除したいものもあり、その記憶と分かちがたく結びついたアルバムを聴くことは辛く、いつの間にかずいぶん距離ができてしまうこともあります。

このアルバムは、その優れた内容から2011年リリースのベストアルバムだろうと思っていますが、この記憶ゆえに、自分にとっての年間ベストアルバムに選ぶことができませんでした。

R.E.M. 最後のオリジナルアルバムとなった "Collapse Into Now"
Collapse Into Now/Warner Bros / Wea

¥2,057
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リリースされたのは2011年3月9日。
同時にヘビロテで聴き始めたこのアルバム。

そこにやってきた、あの未曾有の大災害。
アルバムに収録された優れた曲たちのインパクトと、大災害から僕らが受けた精神的、肉体的ダメージのインパクト。
分かちがたく結びついてしまいました。

このアルバムを聴く度に、未曾有の大災害が起きる前に彼の地を訪れた時の光景を思い出し、大災害のテレビ中継の映像を思い出し、悲しみにあふれます。

聴きたくとも聴けない日々。
自然とアルバムから遠のき、いつの間にか2年間の空白ができていました。

久しぶりに聴きたいという気持ちになった先日の日曜日。

どんな曲が入っていたのかも忘れていることに気付きながら、1曲1曲を噛みしめるように聴いていきました。

やはり悲しい記憶は相変わらず立ち上ってくるし、どうにも切なくやるせない気持ちも襲ってきます。
それでも昔に比べると気持ちの振幅は小さくなったなと感じながら。

ところが、いきなりガツンと食らいました。

ああ、この曲がこのアルバムには入っていたのだ。
あの日々の悲しみにもっとも結びつきが強かったこの曲。
イントロを聴いただけで、あの日の心象が強烈に蘇る。

これだけの悲しみを、僕らはあの日に受けた。
いつの間にか薄らいでいったあの時の衝撃と悲しみ。

やはり忘れてはならないと、改めて思いました。
徐々に風化させてはならないと。

あれが起きた日のことを。
未だに苦しみから逃れられない人たちがいることを。
あの日々に、これだけの悲しみを持った自分たちがいたことを。