Vampire Weekend の衝撃的だったセカンドアルバム、"Contra" 。
これだけ明るく軽やかに突き抜けるロックを知らなかった。

跳ねる、という言葉がふさわしい。
どんな障害も突き崩しながら進むのではなく、見事な跳躍力で軽々とひらり飛び越えてみせる。

今までのフォーマットを解体して、彼らの方法論で新しいロックのカタチを見せてくれた素晴らしいアルバムでした。
そこを土台に次はどんなロックを見せてくれるのか、その期待感は大いに膨らんでいたわけで。

サードアルバム、 "Modern Vampires Of The City"

Modern Vampires of the City/Xl Recordings

¥1,568
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最初聴いたときは、なんだか地味だな、という印象。
何度か聴くうちに薄れてきたけれど、それはまず、セカンドアルバムからの期待感バイアスが正常化するために、多少の時間が必要だったのでしょう。

たしかに、サウンド面の変化も大きい。

ここではトライバルなリズムセクションも控えめで、跳ねるオプティミズムも後退。
音数もずいぶん削っています。
陽気だったところに、かすかな翳りが差し込むようなニュアンスも増えました。

意図的にか、結果的にか、エズラのボーカルに一層のフォーカスが当たっています。
そして、曲も今まで以上に丁寧に創られ、歌いこまれています。

セカンドでは自分たちのフォーマット進化を見せつけたとしたら、このアルバムでは、曲と歌のブラシアップにもう一度立ち返った彼ら。
フォーマット的には、ややオーソドックスに巻き戻した印象。
それだけに、曲には素晴らしく優れたものが多い。

いろんなアメリカンルーツミュージックの影響もあるようだけれど、それはすでに彼らの音楽として消化済みで、ほとんど気にする必要はありません。

やっぱりこの2曲が白眉。




セカンドとこのアルバムをつなぐ曲。


彼らは音を削りました。
前作で確固たる評価を得た音を。

それだけ創り上げた音を削れる人は、強い。
過去の成功に拘泥せずに、白紙からスタートして新たな高みに登れる自信があるということでしょう。

例えば、天才サッカー少年が、自分の才能とカラダの柔らかさを武器に、ドリブルとリフティングでガンガン抜いて行く派手なサッカーをしていたとしたら、その少年が成長し、世界で活躍できるサッカーを意識し、優れた戦術眼で最もゴールにつながる質の高いプレイを目指すようになってきたような。
そこでは人気のもととなっていた、見た目の派手なプレイはあえて封印しているような。

素晴らしいアルバムであることは確かです。
そこには疑問の余地はありません。

しかし、あのセカンドの延長でフォーマットを磨き続けたら、その先にはどんな景色が見えていたか。
そこを見たかった気がしないでもありません。

天才少年が、自分の思うままにするプレイするとどんな神業が飛び出すのか、楽しみなように。

今作への立ち帰りは彼らにとって重要なステップであり、次のステップでは想像を超えたジャンプアップを見せてくれると期待して。