この音楽の感触。
どこか脳の奥底の記憶にひっかかる。

80年代の New Wave 全盛期。
Rough Trade や 4AD といったイギリスのインディレーベルを漁りまくっていた時代に、耳になじんでいた音楽たち。

耳が、その記憶を呼び起こしてくれます。

The Flaming Lips の新作、"The Terror"

ザ・テラー(初回限定スペシャル・プライス盤 )/ワーナーミュージック・ジャパン

¥1,980
Amazon.co.jp

ノイズと反復音の洪水の中で、キラリと輝く美意識。
流して聴くことなど許されず、その音にひたすら浸ることが求められる音楽。
荒々しく刺々しい音の流れから、不思議と感じる静謐感。
凶暴さの中に潜む、繊細さ。

まさしく、あの伝説のグループ This Heat を彷彿とさせ、ドキッとする時も。
This Heat ほどには凶暴でもアバンギャルドでもないけれど、金属の塊をかき鳴らしているかのようなギターが特にいい。

アルバム全体を通じて、ある種の精神性、瞑想性をもたらしてくれる音楽。







中盤からのギターカッティングがたまらん。


雑誌などを見ると、彼らが過去にカバーしたことがあるせいかこのアルバムをピンクフロイドの狂気になぞらえる人もいるけれど、自分にとってはアルバムを通したテーマ性の存在以外の共通点は見当たりません。

プログレへの期待感を土台に、聴き手の耳を捉えて離さないこれでもかと仕掛けられた過剰なサービス精神、エンタテイメント性が、ピンクフロイドの狂気の本質。
ビッグセールスを記録したのは結果論ではあるけれど、ミュージシャンが相応に意図していたものでしょう。

このリップスの音楽は、ファットなプログレとは対極にいる、研ぎ澄まされた時の流れ。
これは幅広く売れるはずもない音楽。
エンタテイメントや商業性に背を向けた、精神性と構造。

心が共振すれば深く食い込む音楽になり得る反面、一度聴いて二度と聴かない音楽になる可能性も持つ音楽。
さて、自分はどうなるか。

じわじわと、ずぶずぶと、その世界に取り込まれつつあります。