ブルックリンUSインディの中心、 Grizzly Bear

前作 Veckatimest は素晴らしいアルバムでした。
USインディの中でも明らかに異質。
Dirty Projector の Bitte Orca と並んで、聴いたらすぐに体の芯まで音楽が届くアルバムではなく、あえて予定調和をはずした展開や、落ち着かないメロディ進行など、その消化にはそれなりの時間とステップが必要とはされるけれど、並みのミュージシャンには創り得ない高い芸術性・創造性にあふれたロックでした。

そのメンバーであるクリス・テイラーとダニエル・ロッセンが最近リリースしたソロアルバムを聴くと、バンドの方向性とまったく違うエレクトリック中心の音楽をやったクリス・テイラー、バンドのアコースティックパートを取りだして拡大したダニエル・ロッセンと、その嗜好性の極端な違いに驚き、納得もしたわけです。

クリス・テイラーは、今はグループ名を変えてしまった旧・The Morning Benders の傑作アルバム Big Echo をプロデュースした人でもあり、バンド・ソロ・プロデュースと方向性の異なる3つの活動で素晴らしい結果を出しているし、本当に多才な人達の集まりがこの Grizzly Bear というバンドです。

ある種、主要メンバーのふたりがソロアルバムをリリースすることでのガス抜きも終了したわけで、ニュートラルポジションに戻った4人がどんなアルバムをリリースしてくれたのか。

主要メンバーがソロアルバムをリリースした後というのは、グループのアルバムが薄味でそっけないものになる危険性もありますからね。

4枚目のアルバム、 "Shields"

Shields [帯・解説付き / 国内盤] (BRC344)/BEAT RECORDS / WARP RECORDS

¥1,800
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レベル感は、ある種想定通り。
でも中身は想定を超えていました。

ダイナミックに、より凝縮された Grizzly Bear 。
それぞれのメンバーの嗜好性が高い次元で昇華され、独特のベクトルをもつアルバムに仕上がりました。
本来は別のベクトルを志向するミュージシャンたちが、ひとつのベクトルを共有してその完成度を高めるためにエネルギーを集約したのでしょう。

ロックの持つダイナミズムがストレートに出され、今までは美しいけれどところどころに聴きにくさも持っていたメロディもよりブラシアップされた印象。
そして何よりも、どの曲も美しく輝くしなやかさを持っています。

しなやかさは、彼らがもともと持っていた資質だけれど、繊細なしなやかさだけでなく力強さが加わったしなやかさ。







昨年のベストアルバムの選出をしなかった最大の理由が、このアルバムを年内に聴く時間がなく、候補に入れられなかったことです。
じっくり聴きたいアルバムだったので、忙しさの中で中途半端に聴きたくなかった。

それだけ期待していたわけですが、彼らは見事にそれに応えてくれました。
実に完成度が高く、素晴らしいアルバムです。

これは昨年リリースのトップクラスであることは間違いありません。
いや、確実に1位を争うアルバムでしょう。