最近、電子音で固められた音楽を好みません。
電子的なリズム、シンセで創られた厚み、プログラミングで制御された全体構成。

その昔、YMOがプロフェットなどでシンセ独特のサウンドスケープを創り始めた時はかなりシンセが創りだす音楽に入れ込んだものですが、音源がアナログからデジタルに変わり、すべてがプログラミングされシーケンスされるようになってから、面白くなくなってきた。

本来、アナログ音には倍音があってより深みや雑みがでるように、リズムも微妙なズレや音量差で独特のグルーブ感が出てくるんですけどね。

もちろん、シンセがないと生まれ出なかった画期的で刺激的な音楽はたくさんあるし、シンセも倍音や揺らぎもコントロールできるから意識的であろうとするミュージシャンには期待するところも大きいけれど、安易なその他大勢が多過ぎてね。

安易な大量消費型音楽の隆盛に、プログラミング音楽は一役もふた役もかっているでしょう。

だからというわけじゃないけど、シンセが固まりで鳴るだけで、強制的なデジタルビートがピコピコ鳴っているだけで、その音楽から条件反射的にちょっと距離を置いてしまうようになりました。
風邪が流行ってる時期に、咳をしている人からはちょっと距離を置くのに、似てるかも。
罹患したくないんだろうな。

おそらくは、このグループも一見そのカテゴリーにはまってしまうのだろうけど。

Hot Chip

In Our Heads/Domino

¥1,242
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前作 "One Life Stand" はジャケットがダサかったけれど、なかなか良いアルバムでした。
このバンド、ボーカルを除き、基本的にはシーケンスされたリズムセクションとシンセ、ピコピコ系の音が集まっていて、自分好みじゃありません。
それでも、そこを超えて不思議と心魅かれてしまうところがあるのがこのバンド。

ひとつにはボーカルの存在感が大きい。
一見女性的とも思える男性ボーカルですが、実に滑らかな独特の柔らかい声質を持っています。
そんな有機質的なボーカルが、ノスタルジックスパイスのかかったメロディを歌います。

バッキングのデジタル楽器群も、それぞれはデジタルビートで明らかにピコピコしているのだけれど、どことなく柔らかく、全体として無機質が集まってなんとか有機的であろうとするような(?)不思議な暖かさを奏でてくれます。

それらが相まって、柔らかで人間臭いデジタル感とでも言うような、独特のサウンドスケープを産み出しています。
それがこのグループの生命線。

最新アルバム、 "In Our Heads" でもそれは変わるところがなく、アルバム全体の完成度はさらに磨かれた印象。







なかなかにキャッチーで、グッドメロディの曲たち。
しかし先端のエレクトロニカにはほど遠いし、本当にこのジャンルが好きな人からは、人間臭さがゆるさ、野暮ったさに感じられてしまうかもしれません。
ヘタしたら、けっこう立ち位置の難しいロックなのかも。

たしかに今の自分にとっては、デジタル系の割には楽しめるし好きだけど、やはり心から聴きたくなるのはもっとシンプルにアナログに寄った、ギターやピアノや人の声がフィーチャーされたロックです。

いつもと違う傾向の音楽を聴きたくなる時のロック。
今はそれ以上のものでもそれ以下でもなく、ヘビロテまでは行きにくいのは確か。