最高にシンプルで、最高にうまいもの。

例えば、ビールと枝豆。
しっかりと塩をまぶされたゆでたての天狗豆をつまみに、ぐっと冷えたビールをグビグビ飲む。

赤ワインとフランスパンとチーズ。
うまいと評判のベーカリーで焼き立てで売ってるバゲットを買ってきて、それほどはクセの強くないチーズとともに、カベルネかメルローもしくはシラーズあたりの赤ワインを味わいながら飲む。

とてもシンプルな組み合わせだけど、それぞれはどこにもある素材だけど、極上のアイテムが揃ってそれらがハーモニーを奏でた瞬間、他に何もいらないほどの至福となります。

なんでこいつらこんなにうまいんだろ、それぞれのうまさを消すことがなく、さらに相手のうまさを引き立てる。
そしていつの間にか、ベロベロに。

The Mountain Goats

昨年、自分にとってもっとも大切なアルバムの1枚に "The Eternals Deck" を選んだミュージシャンです。
USインディにカテゴライズされるけど、20年以上に渡ってアルバムをすでに20枚近く発表しているベテラン。

彼らの音楽は自分にとって、そんな食材たちの奏でるハーモニーのような音楽。
とてもシンプルなロックです。
まったく奇をてらわないバンド構成。

中心は、ジョン・ダーニエルのボーカルとアコースティックギター、ピアノ。
それらが極上のメロディを中心としたアンサンブルを創り出す。
特別なサウンドスケープを持っているわけでも、特徴的な味付けがあるわけでもない。

うまみの中心はエモーション。
聴いていると体の中心がなんとなく熱を持ってくるかのよう。
語りかけるように歌うダーニエルのボーカルがエネルギーを与えてくれます。

しばらく音楽を聴くのが散漫になっていた頃、彼らの新譜が届きました。

"Transcendental Youth"
TRANSCENDENTAL YOUTH/MOORWORKS

¥1,800
Amazon.co.jp


このアルバムには若干ホーンセクションが加わっているけれど、言われたらわかる程度に、いつもの彼らのサウンドに若干の厚みと色気を加えている。
なんとも心にくいプロデュースです。
彼らの音楽の本質をわかっているからこそできる仕事。

しかしギターが鳴っているところにダーニエルの歌がのるだけで、素晴らしい。
ピアノの響きの隙間で彼が声をだすだけで、気持ちいい。








時代は問わず鳴り続ける音楽でしょう。
そこには新しさも古さもない。

しかし電子音で誰でも簡単に音楽を創れる時代に、アコースティックにこだわってスタンダードな上質感を追求するロック。
自然と湧き上がる、ワクワクドキドキ感。
何度も聴き返したくなる中毒性。
1曲1曲が丁寧に創られクオリティが非常に高い。


ようやくレビューを書きたくなるアルバムが登場しました。