リマスターCDもいろいろとありますが、このKing Crimsonの40周年リマスターほど気合が入ったリマスターもないでしょう。

なにしろ、シリーズまとめてなんとなくリマスターするんじゃなくって、自らがミュージシャンでありクリムゾンファンでもあるポーキュパインツリーのスティーブ・ウイルソンが、1作品ずつオリジナルのマスターテープを探し出してトラックごとにリマスターし直す、って代物ですからね。
さらに5.1chサラウンドミックスまでやっちゃって。
(間違ってたら、ゴメンナサイ)。

音源が60年代~70年代と古いとはいえ、現代のデジタル機器を使ってここまでやれば、相当な音質改善がなされます。

ただ、以前もRedだか宮殿だかのリマスター聴き比べ記事で書いた記憶がありますが、音がクリアになって分離が良くなればいいってもんじゃありません。
アナログ信号が分離悪く混然一体となることのマジックも実は存在していて、特にクリムゾンのようなメタルでノイジーなロックほど、混然一体アナログ信号が音楽に深みと厚みをもたらすことばしばしばあるからです。

事実、最初にリリースされたRedのリマスターは、音の分離が良くなった分だけ、アナログLPと比較して音楽が華奢になって痩せてしまい、迫力不足になってしまった感がありました。
ただこれだけなぜか2004年版のリマスターなんですよね。
それだけ技術的には劣っているリマスターだからかもしれません。

なにはともあれ、Starless And Bible Black (邦題:暗黒の世界。実に大味な翻訳ですね。原題の味がないです。まあ、プログレらしくわかりやすいといえばそうなんだが)のリマスターです。

Starless & Bible Black/King Crimson

¥2,050
Amazon.co.jp

なんといっても、天下のクリムゾンで一番好きなアルバムです。
LPの国内盤やオリジナル英国盤から始まってCDまで、何枚持ってるかわからんアルバムです。
それがさらに最新リマスターですと。
買わないわけがないでしょう。
楽しみにするなというのが無理ってもの。

しかしこのアルバムは7割がライブ音源で、そこにスタジオオーバーダブをかまして制作されたもの。
もとの音源がそもそもいかがなもんだ、という不安がありました。
やっぱりリマスターして音が輝くのは、原石が光ってる場合だろうから。

でも杞憂でしたね、この不安は。
どうして大したものです。このリマスター。
明らかに今までと音が違います。
デジタルのか細さを払しょくしながら、クリアに骨太に生き返りました。
音に奥行きと広がりが出ました。
今までの音はなんなの、と言っても過言ではありません。

これだけの音が出たら、オマケの曲や映像なんかなくってもいい。
そんな気にさせるデキ。

とはいえ、このアルバムの音楽自体の魅力が優れているからこそ、ですけどね。
自分はアルバムとしてRedへの評価はそれほど高くありません。
けっこう単調だし、クリムゾンの大きな魅力である繊細さがあまり存在してない。
Fallen Angel は素晴らしい曲ですが。

そういった意味でも、この Starless And Bible Black は最高。
暴力と繊細さ、コンビネーションとインプロビゼーションの絶妙なバランス。

その中でも、この曲。
中盤のフリップのギターソロの艶めかしさといったら。

もちろん Fracture も素晴らしいんですけどね、この曲も双璧です。




しかし、相変わらずなんなんだろう、国内盤の高価なこと。
輸入盤の倍以上しまっせ。内容ほとんど変わらずに。
輸入盤がDVD込で2000円ちょっと。国内盤が4700円です。
オリジナルLPを模した紙ジャケと帯、そして解説の対訳がついただけで。

もちろん輸入盤を買いましたよ。
でも自分が買った時よりも、さらに安くなってるし。
ほんとに国内盤の値段は馬鹿げてると思いますね。
大人買いができる自分たちが逡巡するんですからね。

こんな商売はそのうち立ち行かなくなること、間違いなし。