Coldplay には、大きなロックは似合わない。

クリスのボーカルを始め、繊細なメロディ、アコースティックな響きが似合うサウンドなど、やはりファーストやセカンドで見せてくれたバランスが、彼らの音楽のベーシックバランスなんだと思います。
静と動のコントラストラストを独特の繊細さで見せるのが、彼らのロックの本質。

イーノを迎えて制作された前作では、彼らのバランスが華美なサウンドの大洪水に飲み込まれました。
多幸感とともにガンガン突き進んでいくロック。
そして彼らのライブは、(観たわけじゃなく映像だけだけど)エンタテイメントに徹し豪快に演ってくれるぶんだけ、ベーシックバランスが失われている気がして仕方がなかった。

だから自分は、Coldplay の音楽にはスケール感や勢いを求めてません。
世の中が彼らに求めた音楽は、彼らが世界に応えようとして身にまとったスケール感は、彼らの音楽を見えにくくしてしまう。



しかし、一度広げたスケールは元のように小さく等身大に戻すことは難しい。
自分たちの意思とは関係なく巨大なセールスを求められるからね。
彼らも、自分たちを取り巻く環境の変化に、あまりにも巨大になった自分たちに、戸惑ったのかもしれません。

マイロ・ザイロト【MX】/コールドプレイ


彼らが今回のアルバムで選択したのは、一歩引いて、わかりやすく大きなロックという残像を残しながらも自分たちがやっていかれる音楽のバランスを探ることだったと思います。

前作ほどの過剰感を感じず、厚化粧感を感じずにこのアルバムを聴けるのは、それがある程度成功しているということでしょう。

今回のアルバムで、 Up Against The World や Up In Flames 、Up With The Birds (なぜか全部最初にUpがついてるなあ)などの比較的穏やかな曲が心地よく感じられます。

でも、スケール感を大きくしていく間に身に付けた妙な多幸感は、このアルバムでも蔓延してます。
そういった穏やかな曲でも多幸感が過多気味で、自分は居心地の悪さを感じてしまう。
ジャケットデザインでも、華美さを引きずっているし。

もうひとつこのアルバムでの変化として、過去のアルバムほとメロディが目だたたくなったというか、強く響いてこない気がします。
一概に悪いということではなく、その楽曲に、アレンジに溶け込む方向性を選択し、全体として鳴ることを目的とした結果なのかもしれません。

いずれにしても、変わろうとする意志を示し始めた彼ら。
少なくとも、前作よりも今作の方が、自分は好きですね。
今作では最初、アコースティックだけのアルバムを作ろうとした時期があったらしいですが、その気持ちがよくわかります。


声を張り上げないクリス、自然な響きのピアノ、そしてアコースティックギター。

やはりそれが彼らに一番似合ってる。今回のアルバムで一歩下がって自分たちの音楽を見つめたColdplay。
次のアルバムはドラスティックな変化を見せそうな気がします。
それとも長い休止期間が取られるか。

たっぷり時間をかけてもいいので、自分たちの思いを消化しきった音楽を創ってほしいと思います。


自分たちの原点と、自分たちが本当にやりたい音楽をわかっているのは、やっぱり彼らだろうから。


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う~ん、好きなグループのアルバムは、聴くと自然に言葉がでてきますね。

リハビリレビューにピッタリ。