Grizzly Bear のメンバー、クリス・テイラーのソロプロジェクト CANT がリリースしたアルバム、 "Dreams Come True" 。
Dreams Come True [帯・解説付・国内盤仕様] (BRWP219)/CANT

¥1,500
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クリス・テイラーは今やその活動を見逃すことができないひとりです。
Grizzly Bear の中心メンバーであると同時にプロデューサーでもあり、あの傑作アルバム、The Morning Benders の Big Echo のプロデュースをした人物でもあります。
彼が、ソロ名義でリリースするアルバムは、どんな形になるんだろうと、興味シンシンでした。
もとはと言えばジャズミュージシャンであったわけですし、アコースティックな感覚も強いかもしれないな、などと考えたり。
予想外に、ノスタルジックなギターやアコースティック感のない、シンセを多用したアルバムでした。
しかしその構成は複雑かつ刺激的。
静かな調和が、不調和状態に揺れる、不思議な感触です。
ぱっと聴きで、地味な印象を持つ人も多いでしょう。
しかし、この音楽を構成する音は、すべてが有機的にからみあい、存在感と必然性に溢れています。
ムダな音がない。
すべてに意味のある音が現れては消える。
自分が最初にこれを聴いて連想したのは、James Blake のアルバムでした。
James Blake の最大の魅力は、ひとつひとつの音が強烈な存在感と生命力をもって、うごめいていること。
決して音数が多いわけではないのに、そこに存在する音の存在感と有機的なうごめきは、聴いていて圧倒されるばかり。
背後にある静けさすら、その動きを際立たせるためのキャンバスであるかのようです。
まあ、CANT の音楽は James Blake とは違いますが、ひとつひとつの音の在り方を丁寧に考えて、その動きや重ね方には生命が吹き込まれたような感触がありますね。
その昔、YMO が傑作 BGM をリリースし、同時期に坂本龍一がソロアルバム B2 Unit をリリースしたころに感じた、高密度で刺激にあふれた楽曲群。
それらに似た、刺激的で存在感のある音を感じます。
どことなく、Bon Iver のアルバムを思い出させるような展開もあると思ったら、クリスは自然のスピリチュアルな雰囲気がインスピレーションにつながるんだそうです。
こうしてみると、自分はプロデューサータイプのミュージシャンの制作する音楽と、そこに存在している音が好きなようです。
Brian Eno を筆頭に、最近では Massive Attack や Autechre などのアルバムが凄い。
もちろん James Blake もね。
そこに存在している音の感触に浸っているだけで、満足できる。
いわゆる、肌が合う、ってヤツ。
このクリス・テイラーのアルバムも、自分にとってはそんなアルバムです。