ヒリヒリとした音の感触とリアルな存在の音楽。
チープすれすれの下世話な音創り。
シンセの音など、柔らかいストリングスとは対極にいるような、直接的な音。
あいまいさのない、ストレートな編曲。
ホワイトノイズだらけのスネアの音。
金属ピックを使っているかのようなギター。
音楽に余計な虚飾をつけずに、ひたすら音楽がリアルな存在でいるための方法論。
それがローファイなんじゃないか。
それは、この音楽と同世代音楽のパンクにも、まさしく言えること。
David Bowie の "Low" 。

David Bowie と Brian Eno というふたりの天才が、それぞれのキャリアのピークに出会って制作した奇跡の音楽。
ボウイのギリギリの精神状態が、その魅力を加速させた。
レコードで片面20分足らずのコンパクトな構成。
冗長さのかけらも見られない、潔さ。
また、B面の存在が影絵のようにコントラストを創り、印象を際立たせる。
この音楽は、そのたたずまい自体が魅力的。
ローファイといっても、それが目指す音のカタチがしっかり伝わる音質は維持してる。
意識的であり、自覚的なローファイ。
最近、ローファイを標榜する音楽がもてはやされているけれど、ただ単に音質が悪いだけ、音がチープなだけ、演奏が雑なだけの成り行きローファイは、このアルバムの前では束になっても太刀打ちできない。