自分だけの情報源や価値観でアルバムを探して聴いてると、こういうアルバムをスルーしてしまうのが、恐いですね。
Surf's-Upさんが、昨年のベストアルバムに入れていたこのアルバム。
Arcade Fire の The Suburbs と同じような、素晴らしいロックを聴いているときの高揚感を覚えるアルバムです。
USカリフォルニアのインディバンド、The Morning Benders のセカンドアルバム "Big Echo" 。

巷では、Beach Boys フォロワーとかサーフロックなどとの形容詞が使われてますが、自分はPet Sounds も、Beach Boys のサウンドも意識して聴いたことがないし、サーフロックというカテゴリー意識もないので、彼らがBeach Boys フォロワーと言われてもピンときません。
ひとつの音楽として自分に響くのかどうか。
その音楽を何度も聴きたくなって、たまらないのかどうか。
実に素晴らしいアルバムです。
ただし、好き嫌いは人によってはっきりと分かれそうではありますが。
USインディの中でも、独特の存在なんじゃないでしょうか。
Grizzly Bear のクリス・テイラーがプロデュースした影響もあるんでしょうが、ロックとしての構造が一風変わっている。
特にはメランコリックに、時には陽気になりながらも素晴らしいメロディをトレースするボーカルを中心に据えています。
そしてサウンドの要であるギターは、もちろんメロディやコードも弾きますが、強めのノイズと独特のリバーブをかけられ、パーカッション的だったり、サウンドエフェクト的な使われ方をしていることが多い。
それ以外の楽器も、ラフな音に仕上げているドラムスを初めとして音数を絞り、音と音の間の空間や時間に心を配り、時として意識的にバランスを崩し、ある種とても繊細なサウンドスケープを構築してます。
そこから出てくる音楽はピュアで、感情にダイレクトに作用し、時として聴いていると胸が締め付けられるような気持ちになるところなど、Girlsにも通じるところがありますね。
メンバーの写真を見る限り、とてもオレ達ロックバンドだぜ、という感じではありません。
僕たち一応ロックやってます的な、どこかの理科系大学の研究室生にしか見えませんね。
彼らからどうしてこれほどリアルに心の奥底に作用するような音楽が出てくるのか。
ベストトラックは、1曲目の Excuses と、9曲目の Stitches 。
ベストトラックでありながら、このアルバムを象徴する曲だとも思います。
この2曲はまったく雰囲気が異なっていて、磨き上げられたメロディラインと厚めに仕上げられたサウンドを持つさわやかな曲調の前者、ひたすら内省的に沈み込みながら悠久すらを感じさせる後者。
アルバムのすべての曲は、この2曲を極としながら、その振れ幅の中に置かれています。
もちろんどの曲も素晴らしい。
自分としては、特に内省的な側面を持つ曲群により強い魅力を感じますが。
まさに、アルバムトータルとして聴き、評価したいアルバム。
これをサーフロックという範疇の中で評価しようとしてはいけないと思いますね。
このアルバムを2010年のベストアルバムに認定した Snoozer 、ちょっと見直しました。
強烈に心を揺さぶられた人がいたんでしょうね。
その人の独断で決まったのかもしれません。
それでも、その強い想いをカタチにして出版することができるメディアということです。