さて、性懲りもなくこの前の続きです。
昨年のベストアルバムを発表された多くの人のブログを読んでみると、とても高い確率で書かれていたのが、選んでみたらイギリス勢がなんでこんなに少ないの、という感想です。
かくいう自分もそうです。
そういう意見が出るということは、彼ら(彼女ら)はUKロックというものを意識している人たちだということ。
自分の音楽観がUKロックによって育まれている部分を多く持つ人たちということ。
その彼ら彼女らが、印象に強く残った、好きで多く聴いたアルバムに、UKロックをほとんど選んでいない。ニュートラルにロックを聴く人たちよりも、意識的にUKロックを聴こうとしているはず。
ということは、一般的なロックマーケットの中でUKが存在感を失いつつあるだけでなく、UKロック好きの人にとっても地盤沈下が激しいということです。
もしかしたら2010年は特殊な年だったのかもしれません。
あまりにもUSインディ勢のパワーが凄かった。
ベテランはもちろん、ニューカマーもデビューアルバムからいきなり完成度のメチャクチャ高いアルバムをリリースしてきました。
メジャー顔負けのセールスを記録したアルバムも続出したし。
ピッチフォークというメディアの影響力の大きさも無視できません。
UK好きも、USインディに脳みそを揺さぶられた年、2010年。
あれほどUSロックを評価してこようとしなかった自分ですら、USのことを認めざるを得なくなっているどころか、積極的に認めたくなっています。
もし、2010年が例外的な年というわけではなかったとしたら。
質的に向上し存在感を増すUS。質的低下と存在感の減少が続くUK。
その差は乗数的に拡大してしまうのでしょうか。
そんな危機感の中、あるUSインディのグループで、聴くたびにイギリスっぽさが気になるグループがあります。
最近もアルバム出しましたが、けっこう活動歴は長い彼ら。
Built To Spill 。
基本的にギターを中心としたロックで、グッドメロディーの歌が載ってきます。
このグループ、かなり好きなんですけどね~
なにしろ、ストレートじゃありません。
どこか捩じれてるというか、一筋縄じゃいかないぜ、と言ってるかのようです。
イギリスに特有のシニカルな感じというか、ひとくせもふたくせもあるロック。
どこかで聴いたロックに感触が似てますと思ったら、XTCですね。
Black Sea よりもちょいあとの時期。
ちょっとねじれたポップなロック。
こういうロックがアメリカから出てきたことが面白い。
まさしく、USインディの刺激を受けて、それをかみ砕いたUK勢が軽やかにロックをやったらこうなりました、みたいな見本のように聴こえます。
これを10年以上も前からやられちゃってたんですね~
彼らの4枚目のアルバム、Keep It Like A Secret から何曲か。

もしかしたらUKのミュージシャン以上に、UKロックのアイデンティティをわかっているUS勢。
先日ご紹介した、Wolf People のプロデューサーもそうかもしれません。
UK勢にも自分たちのアイデンティティや武器を客観的に見つめて、それを音楽として再生産し、ムーブメントのコアになるようなミュージシャンが現れないものだろうか。
無意識で、自然体でそうなってくれるのが一番いいのは確かですけど、贅沢はいってられません。
こうして見れば見るほど、逆説的にUSインディの可能性を感じてしまいます。
本当に最近のUSの変身は見事。
まあ関係ないと思うけど、サブプライムローン問題とリーマンショックでアメリカの経済や雇用が大ケガを負ったことが一因なのかもしれない。
イギリスでも、1970~80年代に失業者の増加が下地となり若者の不満や怒りが鬱積したことも原因でロックの解体を叫ぶパンクやニューウェイブが現れたように、生活基盤そのものが追い込まれないと、本気を出して底力を発揮してこないのかな。。
ゆるいJ-POPに覆われてる日本のように。。