ブリティッシュ・ロックの凋落が叫ばれて久しいですが、歴史的なうねりやリスナーの変化など、さまざまな要因がそこにはあると見てます。

そんな思いで、最近のブリティッシュ勢を見ていると、たしかにどれも小粒。
自分の2010年ベストテンを眺めても、ロックど真ん中というフィールドからは Mogwai だけじゃないですか。
自分としては、Foals も今一歩だったし、Delphic もちょっと底が浅かった。
Radiohead の新譜でも出ればまた印象も変わるんでしょうが、ちょっと悲しい状況です。

なぜUKロックは凋落しつつあるのか。
UKロックが勢いを取り戻すためにはどうしたらいいのか。

自分の思い込みではありますが、ちょっと考えてみました。

まず、思いついたのが、この人たち。

The Big Pink
4ADからのデビューアルバム、Brief History Of Love
$煩悩の日々

The Big Pink は、ロンドンを拠点に活動するRobbie FurzeとMilo Cordellによるユニットですが、MiloはKlaxonsやThe Horrors、Crystal Castles等が在籍するMerok Recordsというレーベルの主催者だそうで、今のブリティッシュ勢の中でも個性的で勢いがある連中を束ねてるとも言える人物。

さすがにその人がやってる音楽だけあって、アルバムのリリースは2009年ですが、やはり魅力的です。

代表曲は、やはりこの曲でしょうか。
シングルカットされた Dominos 。


自分としては、このアルバムで最も好きなのが、この Velvet 。


アルバムとしての完成度も高く、曲のバリエーションも豊かで、シューゲイザー的ギターのフィードバックノイズやインダストリアル・ビートをベースに、一本筋の通った骨太のサウンドスケープがあります。

そしてDominosのような優れたメロディを持つアンセムを創ることができる。
この骨太のサウンドをベースに持つ優れたメロディというのが、80年代から90年代にかけてのブリティッシュを思い起こさせますが、ひとつのポイントなんじゃないですかね。

ところで、ブリティッシュ・ロックの特徴でもある音楽性やメッセージにおける陰りや湿り気、ある種の暗さ・重さといったものが、60年から90年代までUS勢にはない魅力として作用し、今でも自分にとって大きな魅力なんですが、はたして今の時代に求められるロックとしての空気感にそぐうのか。
なぜUSインディが勢いを増しているのか考えてみると、発想の自由度に加え、そこにある軽やかさがひとつのキーになっていると考えます。

アメリカ発だからこそ自然に出すことができたある種の軽さ、乾いた空気感。
それをベースとしたポップネス。
そしてロックスターとはまるで縁遠いライフスタイルのミュージシャンたち。
ロック自体は密度が濃く、エネルギーに溢れるArcade Fire ですら、湿り気や重さとは無縁。

グローバル化とネット化が音楽シーンでも進展したことで、リスナーがワールドワイドに展開し、情報とコンテンツが時間と距離の壁を軽々と越える現在、イギリスはすでにヨーロッパのローカルな一国に過ぎません。昔はウリだったイギリスが持つ個性や歴史性だけではUSインディの発信力や時代を乗り越える軽さ知ってしまったリスナーを動かそうとしても動かせないし、すでにUKロックというものが特別な存在でもない。

USの音楽シーンがグローバルに踊りだそうとしているのであれば、迎合する必要はまったくなくても、そことの相互作用というか有機的な影響を受けることは不可欠な時代なのかもしれません。

元来のUK好きとしては、あの湿り気や独特の暗さ、重さをアイデンティティとして認めていたい。
そのアイデンティティが時代を取り込み、USの持つ軽やかさを昇華し、さらに乗り越えて行くようなブリティッシュ・ロックを鳴らして欲しい。
USインディの明るさ、軽快さばかりでは、何か物足りなさを感じてしまうから。

USが進む先と違うところに留まってるUKじゃなくて、USの動きに負けないで疾走するUKであって欲しい。

Oasis 一派にはできないでしょう。
Radiohead はすでにUKとかUSとかを超えてるし。
Blar のデーモンは、もしかしたら Gorillaz でそれをやろうとしているのかもしれない。
うまくいってるとは言えないけど。

そういった意味で、案外、そのうちリリースされるであろう The Big Pink のセカンドアルバムなど、Merok Records がUSインディからの刺激を取りこむことによって、イギリス勢の起爆剤のひとつになってくれたらいいな~と思うんですが。
やはり4AD系には期待してしまいます。

もうひとつ、UKロックの可能性を勝手に感じるグループがあるので、それは次回に。