David Gilmour が2006年に発表したソロアルバム、On An Island
$煩悩の日々

と言っても、ピンクフロイドが事実上の解散をしてから何年も経つので、ソロって言い方もヘンですね。

自分にとっては、ピンクフロイドの中心はロジャー・ウォーターズであり、一番好きなアルバムは The Final Cut という一般的には酷評され、セールス上も彼らにしては失敗したアルバムです。

じゃあ、ギルモアはどうかというと、ピンクフロイドの情緒的な部分、ウェットな部分の担い手は彼で、特に初期から Wish You Were Here までは彼がサウンドスケープ創りのイニシアティブを握っていたのだろうと思ってます。

ギルモアのギター、それも曲の合間に入ってくるソロパートが大好きでした。
特に、Time とか、Shine On You Crazy Diamond 、Comfortably Numb などのソロは何度聴いたかわかりません。
テクニックはともかく、音色と情感の込め方が抜群です。

そんなわけで、ギルモアのソロアルバムも必ず買って来たんですが、ソロになるととてもリラックスして音楽やってる感が強い。

一番好きなのは、ソロのファーストで、いまだにあのアルバムが新宿レコードに入荷して、高くて泣いたけど(たしかイギリス盤で3800円くらいした)とっても嬉しかったのを憶えてます。
今にして思えば、あれはギルモアの泣きのギターをフィーチャーしたクロスオーバー(死語過ぎ?)だったな。

そのギルモアが久々のリリースをしたのがこのアルバム。
共同プロデューサーにフィル・マンザネラが入ってます。

時代性とか、ピンクフロイドでの彼を思い描いてとか、そういう期待は一切しないで、純粋にひとりのキャリアを積んだミュージシャンのアルバムとして聴き、評価することが必要なアルバム。

ほんと、ゆったりとした時が穏やかに流れて行くようなアルバムです。
ギルモアの声もあいまって、甘美、甘美。

ライブからの映像ですが、スタジオとほとんど変わらない音創りとボーカル。


フィル・マンザネラとのソロの掛け合い。たまらん。


ピンクフロイドから離れて一人のミュージシャンとして聴く、などと書きながら、レビュー全編に渡りピンクフロイドの名前が出てきてしまってますが、一番その名前に縛られ続けたのがギルモアなんでしょう。

本当は神秘的な味付けのものや、ギスギスしたこけおどしは好きじゃなく、気持ち良くギターを弾いて歌うシンプルなロックがやりたかっただけなんじゃないか。
彼のソロを聴くとそんな気持ちにさせられます。

ウォーターズが抜けた後のピンクフロイドは、彼が実質のリーダーだったわけですが、それもピンクフロイドという怪物を存在させ続けるためだけにやらざるを得なかった役目だったのかもしれない。
特にウォーターズという毒を抜いてピンクフロイドを継続するのはしんどかっただろうな~

呪縛から逃れて、ほんとにゆったりと、家族愛をテーマに自分のやりたい音楽をやってるギルモアは楽しそうに見えます。