さて、久々の聴き比べシリーズです。


David Bowie "Station To Station"



煩悩の日々
枠が白いので、どこまでがジャケットなんだか、よくわかりませんね^ ^

ちなみにこれはオリジナルのジャケットで、LPが発売された時に使用されてました。


こっちが現行のCDに使用されているもの。

全面が写真です。

最初の方がシャープでいいのに、なんで変えたんだろう。

興味のない人にはどーでもいい話ですが、好きものにとってはとても重要なことなんです^ ^


煩悩の日々


Station To Station は彼の中期~後期への過渡期的な時期に出たアルバムですが、プラスティック・ソウルを演じた前作から、ヨーロッパ三部作への橋渡しとして、自らのアイデンティティを見つめ直したアルバムと言うポジションではないかと思っています。


もちろん、大傑作。


ボウイのアルバムは、後期までのレコード時代はRCAからリリースされており、世の中のCD化の流れでの旧譜のCDリリースは当初RCAから行っていました。


ところがRCAとの契約切れにより、当時RCAからリリースされていたCDはあっという間に廃盤と化し回収され、世の中に Let's Dance より前のボウイのCDが一切存在しない時期がありましたね。

たしか、その当時は国内盤のCDはリリースされてなかったので、六本木WAVEに売っていた輸入盤のRCA版のCDを何枚か買っていたのですが、こんなことならもっと買っておけばよかった~と何度悔やんだことでしょう。


そのうち、アメリカのRYKOがボウイの版権を買ってリリースする、しかもすべてリマスターしてボーナストラックも満載、という話が伝わって来ました。

こりゃええ話だわい、とリリースされるアルバムを次から次に買って、ほとんどのアルバムをそのシリーズで揃えつつあったわけですが。


すると、何かの20周年記念とかでジギー・スターダストが特別盤でリリースされたことを皮切りに、次はアラジンセイン、そしてダイアモンドドッグス、ヤングアメリカンズと、全部箱モノ系の特別バージョンが次々にリリースされるではありませんか。


完全に足元商法です。

音源はRYKO版と変わらないのに、オマケが増えてる。

まあ、買ったり買わなかったりで済ましてきましたが。


そんな訳で我が家には、タイトルによっては、LP、RCA版CD、RYKO版CD、ボックスシリーズの4種類が存在してるものがあります^ ^


前置きが長くなりましたが、今回リリースされた Staition To Station の特別盤。

目玉は、未発表のライブ音源なんだろうと思いますが。


僕の興味は、スタジオ盤がRYKO版と音源が違うこと。

今回のはリマスターではなく、オリジナル・アナログマスターからの収録だそうで。

要は昔のLPと元は同じってことですが、昔の機材によるアナログからアナログへのカッティングではなく、最新のデジタル機材を使用したCDへの落とし込みということで、どのくらい音に差が出たのか。

まさしく、聴き比べの血が騒ぐしかないでしょう。


ということで、今回聴き比べの対象にしたのは以下のとおり。


① LPレコード オリジナル英国盤

② リマスターCD RYKO盤

③ 今回発売のCD オリジナル・アナログマスター盤


試聴は、できるだけ細部がわかるように、STAXのヘッドホンによりました。

対象とする曲は、Golden Years , Stay , Wild Is The Wind 。


まず、①LPレコードを聴きます。


う~ん、LPレコードもなかなか良いではないの。

けっこう分離もしっかりしてるし、エネルギー感もある。

オリジナルの英国盤だからかなあ、日本盤だともっともっさりするかも。

これにはCDも苦戦するのではないか?


次に、②のリマスターCD。

やっぱり、LPよりも優れた分解能がありますね。

個々の楽器の際立ちが違う。

特にGolden Years のダブルギターが、音色の違いも良くわかって、左右のチャンネルに広がっているのがよくわかります。

ただ、キレイになった分だけ、薄いというかエネルギー感に不足しているかな~


最後に、③の最新アナログマスター盤CD。

まず、②と比較すると、なんだろう、ベールが1枚はがれた印象でクリア感は増したけど、軽くはない、そんな印象です。

LPレコードのエネルギー感を失わずに、分解能を上げた感じでしょうか。

エコーも自然に出てくる。

さすがですね。

でも、エネルギー感は若干LPの方が上かな。


このエネルギー感ってことですが、LPは音像が真ん中に集中してるんです。

そのために凝縮感が強い。

CDは音像が広がっているので、分解能や空間再生能力が高い。

その分、凝縮感で負けてる、という印象です。


ただ、LPが圧倒的に負けるのは、いろんな楽器が一斉に鳴っている時。

分解能の低さ、というか、アナログ機材の限界なんですかね、楽器感の分離がとてもあいまいになります。


それと、LPの片面の最後に収録されている曲の再生能力。

ここでは、Wild Is The Wind がそれにあたります(B面の最後)が、これはレコードという記録媒体の持つ限界で、内側に行くほど記録されている情報の再生能力が落ちます。

レコードの外側と内側では一周の距離が倍ほど違います。

つまり同じ情報量を詰め込むにしても、内側はそのスペースが半分しかないということ。

だからカートリッジがトレースして再現する情報の質に差が出てしまいます。

CDはデジタル信号なので、それはありません。


このことは今回の聴き比べでも良く現れました。


外側の Golden Years と比べると、高音~低音のバランスが狂います。

バスドラの押し出しが強めに出てきて、突出してしまってます。

繊細な音も若干荒くなる。


とまあ、ここまで3枚の差を書いてきましたが、はっきり言ってそんなに大差あるわけじゃ、ありません。

分解能の優れたシステムでそれなりの音量で聴いたからこそわかる違い。


以前に聴き比べた、PILのMetal Box や、King Crimson のリマスター(リミックスか)ほど、この差はなんじゃいというほどではありません。


買った人はそれなりに満足できるけど、別に買わなくても良し、というレベルかな、ということで。